第282話:閑話~採掘Aランク驚きの場所を発見

 ゆったり、のんびり湯殿につかっていたリョータは「不可視」の魔法を「掛ける事なく入っていた」為、気づくのが遅れる事となった。


 施設から数メートルも離れて無い場所に、人の気配を感じ慌てて


「ふ、不可視!」


 と魔法を掛け遮音も施した。


あるじ?如何なさいました?】


 5か10か、はっきりしないんだけど、数メートル先に採掘パーティーらしい気配を感じたんだ。


【ま、まあ!大変ではありませんか】


 多分…見つかってると思う。


【わたくしたち、入ったままですわよ?

 どうなさいますの?!】


 まだ施設に辿り着いてないから、湯から出て服を着るから俺の傍にいて、隠遁いんとん…使うから。


【…見つかってしまった物を、

 なかった事には出来ませんものね…】


 もうすぐ来るから権太、ゴマ影に入って!


『はーい』[はーい]


 2匹を影に入れ、小桜に触れ隠遁を使う。


 数分後、施設外でパーティー代表だろう男性の声が響いた。


「な、何だこりゃ!」


「何かの施設みたいですが…

 今まで、ここを訪れた時に見ませんでしたよね?」


「見なかったな…」


「危険がないか、確認してみよう」


リョータの「嫌な予感」は「的中」してしまい、施設が見つかってしまった。


(やっべ…あと数分、気づくのが遅れたら服でバレてただろうな)


 入口は玄関のように開ける形を取ってはいるが、湯船に入る場所は流石に引き戸。


 恐らく…ではあるが異世界こっちの人は知らない作りだろうとは思ったのだが、最初に見えるのは着替える場所。


 開けた瞬間、着替えてる姿が見えるようにはなってないが


「何だか着替える場所っぽくねぇか?」


 と言う声を拾ってしまう。


(そりゃー見れば着替える場所って判るやねぇ…)


 入口に男性と女性を分ける「暖簾のれん」を掲げてない状態にも関わらず、そのパーティーは右…つまりはリョータがいる方に入って来たようだ。


「おいおい、又みた事ない物が出て来たが…

 これは押すのか引くのか?」


「さぁ…見た事ないけれど、仕切ってるのは判るね」


 家の窓に使われてる仕組みを知っていれば、横に応用して開ける事は可能だろう。


 だが彼らは押してみたり引いてみたりして「開けられない」状態のようだ。


「これさぁ…2階の窓とかに使われてる方法を横にしただけじゃない?」


 発想の転換をした誰かの声で突破口が開かれ、彼らの前に「たっぷりと張られた湯」と「外の景色」が広がる。


「「「「「うおぉぉぉぉぉ!こりゃ絶景だ」」」」」


 5人…いたのだろうか。5人分の雄たけびが聞こえてしまった。


 それが風呂である事は「なんとなく」判る程度。


 誰かが湯に手を入れたのか


「この水、あったかいよ?!

 もしかしなくても此処…お風呂の大きい奴かも!」


 と叫び、残り4人が


「じゃあ着替えて入れる施設って事か?!」


 と驚きの声を上げ、5人にではあるがバレてしまったのだった

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