第281話:湯ったり、まったり疲れと傷を癒やす
かけ湯をして足から湯船に入って行くと、冷え切っていたのか、冷たくなりすぎていたのかは定かではなかったが
「くぅ~~~~~~」
と声を出してしまうリョータ。
腰を下ろし、肩まで浸かると全身に暖かさが回り「ほぅ」となってしまうのは仕方ない。
色々ありすぎて「風呂」に入る事なく
勿論、騎士科の寮には爵位持ちの風呂しかない。
だからこそ
まあ、風呂を持っていたとしても「ああ、あいつはスタンピードを収束させた奴だから持っていても不思議はないな」で終わる案件ではあるだろう。
だがリョータは極力目立ちたく無いのである、そう極力…なのに目立ってしまっている。
薬草採取で目立ってしまい、ワイバーン襲来…ではなかったものの治療で目立ち、緊急招集で「ヤラかして」目立ち、キングを倒して目立ち…と、目立つ「つもり」は無かったのに目立ってしまった。
ワイバーンが来た事で魔法科で目立ち学ぶ事が出来なくなり、阿呆に絡まれまくり…と散々な目に合ってきた。
温泉に入って全てが洗い流される訳ではないが、スッキリした気分になるのが不思議だ。
「はぁ…癒やされるぅ~」
『気持ちいいね』[久しぶりに硫黄の香りを嗅ぎました]
【オンセンとやらは癒やし効果、抜群ですわね】
ゴマと権太は獣と言うだけで冷遇されてる所を助けた。
小桜は罠に掛かっている所を見かけ助け出し、目覚めた時には集落へ帰すつもりでいた。
だが、彼女は従魔になりたいと懇願され、最初の獣魔になり色々な「ヤラかし」を見て注意してくれる有り難い存在。
傷が残ってしまっているのを申し訳なく思っていた所に「温泉」を見つけ癒やす効能が入っている温泉だった事を喜び今に至っている。
チャプ…と水音だけが露天と化した場所に響く、が誰も近くにはいない。
完全個人露天風呂と化した状態での堪能は英気抜群になるのは請け合い。
「色々ありすぎて、日付の感覚、
無いけど…そろそろ1年になるの…かな?」
【
主と出会って1年になるのは春先ですわ】
「あー…洋服が春っぽかったっけ…。
それすら記憶から抜け落ちてるわ」
気づけば異世界に転生していた…だけでなく子供の体となり、髪色と瞳は異世界風に変化していた。
見た目と内側のギャップに戸惑いながら、思考は徐々に子供化してしまいそうになるのを何とか抑え、現状維持を保つようにはした…と思っている。
ところが、どうやら落とされた瞬間から冷静さは欠けており、領主を「脅す」などと言う不敬を働いていたのだと、今更ながら思い出しブルリと寒気が襲う。
やべぇ…かなりヤバい事ヤラかしてたや。
反省はすれど、過去には戻れないので、今後の行動は先に考え言葉にしなければ不敬で処罰は有り得るな…と気を付ける事を誓った(それでもリョータはリョータであって、すぐに忘れるのは何時もの事である)
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