第103話:まるで日本の食べられる草
一応、知識として何に役立つ薬草があるかを把握したかったから来たのだが、種類としては少ないらしい。
その図鑑に掲載されているのは「雑草と薬草の見分け方」に近い形だった。
(えっとぉ?
回復薬草は鑑定で採取した「ヨモギ」に似た草で、
似てるのが菊の葉っぱに見える草。
毒消し草は百合の花に似た草で、
見た目がスズラン見たいなのが毒そのもの・・・と。
で、魔力回復に使えるのが…菊の花で
似ているのはタンポポの花…って、
まるっきし日本の花や草じゃねぇかよ…)
見た目は日本で知り得る草花、ヨモギに菊、ツクシにドクダミ…どんだけ日本にある食える薬草があるんだか…。
草花は、そのまま使うのではなく湯煎したり煮だしたりしなければ使えないと言うのは当然で、ハーブも薬として使う事が多い・・・と書かれている。
確かにハーブティーってのもあったからなぁ。
小説でも出て来る事あったし…それにしちゃぁイラストって言うのかね、この図柄が大変、素晴らしい。
薬草学を極めた著者なのか、詳しく図案が書かれ説明に気を付けるべき事柄まで記入されている。
まあ名前が日本と違うから間違ったら洒落にならんから、覚えるに越した事はねぇな。
時折、本に挟まった草(どうみても押し花風)を確認しながら図鑑に掲載されてる草花を記憶して元に戻すのをどうしようか、と思案し始めた。
これ…重たかったから戻すの、どうする?
司書の人にお願いするしかないやね…。
さっきは偶然、エルフが助けてくれたけど…取り敢えず戻そうとしてる雰囲気を出さないとね。
図鑑を抱えるようにして持ち、立って一番上に戻すべく梯子を移動させた時、司書らしき女性が
「その本、もういいのかしら?」
と声を掛けてくれた。
「はい。
知りたいことを知れたので戻したいと思って!」
その女性は風魔法を使って俺の手から本を受け取り、そのまま元の場所へと運んでくれた。
「薬草を知りたいと言う事は、
依頼を受けるにあたって間違えたくないと思ったからかしら?」
「ううん。
ぼく、ランクがBだから採取依頼で知る事が出来なくて…
それでも知らないと間違って
毒草を使ってしまうかも知れないと思ったんだ」
「そう…確かに低いランクくらいしか採取依頼は
出されてないものね。
凄いわぁ…何になるか知らないけど頑張ってね」
「はい」
ニコニコと別の場所で戻そうとしてる人に声を掛けに行った女性に、見えないだろうがペコっと頭を下げ王立図書館を後にした。
* * * *
そう言えば薬草園があるって言ってなかったっけ…ま、いっか。
何か言われたと思ったのだが、すっかり綺麗さっぱり「忘れて」しまったリョータ。
まともに王都観光すらしていなかったな、とプラプラと城下町を歩く事にした。
流石、王都。にぎわってんなぁ…。
影から出て貰った小桜と共に大通りをプラプラ。
【
うぅ…言わないでってば。見る余裕すら無い状態だったんだもん…。
情けなさ満載ではあるが、概ねリョータは王都観光を楽しみ、グリフォン乗り場へと向かい始めるのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます