第107話:食事は・・・

 食堂に入って俺たちが着席すると、次々と料理が運ばれて来るが…これさ…爵位がある人が食うレベルじゃね?


 「先生、これ…」


 平民クラスの俺たちからしたら、同じ品を食って良いのか?って躊躇いが出るのは当たり前で、同級生Aが心配そうに聞こうとした。


「魔法学校は特別なのよ。

 みんなも知っている通り、

 領主様が大魔術師だったから、

 次代の魔術師が生まれる可能性もあるでしょ?

 だから学校に通う子供には良い食事を・・・

 と言う考えで専門の料理人を抱えてるのよ」


 ・・・マジか・・・。


 残念な領主の一言が発端で魔法学校に通う子供は、平民であろうが貴族上位であろうが同じ品を食べる、と定められたらしい。


「マナーとか…覚えてないカモ…」


 どう見てもフランス料理のフルコース(っぽいとしか言えないが)


 正しいマナーなんて学校で勉強する訳ない!


 せいぜい市民が食べる料理くらいのマナーしか俺は持ち合わせてねぇよ。


「あら、マナーなんて普通に食事するマナーで大丈夫なのよ?」


「「「「こんな豪勢なのに?」」」」


 全員一致した意見が言葉として発せられたのは仕方ないだろう。


 どう見たって宮廷料理と言うか高級料理。


 箸なんて無いから当然フォークとナイフを使って食うしかない。


 普段は自分で作った箸で御飯を食ってるからこそ、上手に使いこなせるか不安なのだ。


(流石に此処で箸をバッグから出して使う訳に…いかんよなぁ…)


 周囲は既に食べ始めていて、出遅れた感が否めない。


(覚悟を決めて食べるしかないかぁ…)


 はぁ…と盛大に溜息を吐き出して左手にフォーク、右手にナイフを持って肉を一口大に切り分け食事を開始した。



 * * * *


 1時間後…食い切れねぇだろ!と言うくらいの量を半分以上、残した状態で食事を終え先生から


「君は量を減らして貰いますから、次から安心して完食してね」 


 と言われてしまった。


 元々、小食ではあったが、環境が変わった所為せいで小食さに拍車を掛けたようだった。


「・・・すみません、

 ありがとうございます」


 申し訳ないが「勿体ないオバケ」が出て欲しくない俺は、先生からの申し出を受け入れた。


(はぁ…運動してれば多少は入っただろうけど、

 そんなに動いて無いから入らなかったな)


 学生の頃でさえ、運動後の食事を少なくして貰わなければ、残ってしまうくらいに小食だった。


 だからモリモリ食うタレントを見ると「良く食うな」「そんなに食えん」と言う感想が殆ど。


 だから屋台で食う串焼き等は1本単位だから買い食いには最適♪


 冒険者としてソロ活動予定だから、食事の量は自分次第、他人に指摘される心配は、今のところ皆無と言っていいだろう。


 食事時間を終えた俺たちは自分の部屋へと戻り、明日から魔法の基本を学ぶ事となるのだ

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