第180話:撤回された手配書(2)

「やっと手配が撤回されたか」


あるじ

 もしかしなくても

 アヴェルに行けるようになったのですか?!】


「うん。

 魔法で届けられた手紙は、

 アヴェルの領主様からで、

 謝罪とダンジョンに関してが書かれてるんだよ」


【ファニー王様への手紙をティングで出されたのでしたわね】


「そうだよ。

 ブラッドさんが教えてくれたからティングで場所かりて、

 子供らしい文章で出したけど、

 アラサー…35の俺からしたら違和感ありまくりだよ」


【あ、主は…

 転生でしたわね】


「見た目は10歳の子供ガキだけどね、

 元は35だよ」


 苦笑を浮かべる顔つきは10歳の子供。


 小桜からしてみれば保護すべき対象ではあるが、規格外な魔力を持ち魔法を所持し続ける彼は10歳の子供として見るべきなのかと悩んだ事もあったのだが、元の年齢を引きずっている訳ではなく、精神状態が10歳になりつつあるのだと割り切る事にしたのだ。


「何にせよ、これで推奨ダンジョンに挑む事が出来るな」


【ですが主は大金持ちになってしまわれましたわよ?】


「それなんだよなぁ…。

 ドロップアイテムを売らない…って事は出来ないよなぁ」


 異世界むこうにしかないプラは出さなかったけど、こっちに存在するアイテムは売らないと駄目だろうしな。


「ダンジョンに行く前に2階の一室を改造しちゃうか」


【何をする部屋になさいますの?】


「錬金だよ。

 1種類だけギルドに出さなかったアイテムを持っててね、

 その素材はエーテルディアに存在しない筈なんだ」


【だから提出なさいませんでしたのね。

 その素材で何を作るつもりですの?】


「そうだなぁ…錬金術じたいが初めてだから、

 簡単に作れそうなゴミ箱かな」


 プラスチック製品と言えば、これ!と思い出すのが現時点では少ないが、真っ先に思い出したのはゴミ箱。


 他にも風呂で使う椅子や洗面器、バケツ、歯ブラシ、ラベルに蓋など様々な製品に使われているのだが、リョータが思いつくのは日用品だけになりそうである。


「一応、アヴェルのギルドに行ってみるのもあり?」


【そうですわね、

 手配が撤回されていると実際に見た方が良いと思いますわ】


 小桜を連れてアヴェルに行く事は決まった。


 2階の一室を錬金部屋へと改造する…と言った瞬間に魔法が発動し、リョータが気づかないうちに作り替えられてる事に気付くのは、本人が2階を確認した時となる。


「ココは順調に成長してくれてるみたいで安心だな」


【母親を亡くしていると成長したら教えるのですか?】


「逆に教えなければ何故おれに、

 使役されてるのか言えないだろ?」


 使役されてる理由を聞かれれば、おのずとココの母親が瀕死だった事を言わなければならないと小桜も気づいた。


【…残酷な事ですが、

 伝えなければならないですわね】


 権太やゴマ、こむぎに琥珀が遊んでくれるのが嬉しいのか、猿らしい鳴き声ではしゃいでると判るくらいにはなった。


 危険があれば呼んでくれと小桜以外の従魔を森に残し、リョータはアヴェルのギルドへと確認に向かったのだ

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