第220話:討伐結果報告(2)

 安全な守りの街中、門の近くで団長はAの事をジト目で睨みつけており、何が起きたのか把握できてない、適正ありとされた候補生は、成り行きを見守るようにその場で待機している。


「普通なら副団長クラスの君が、

 危険に気づかなければならないのだがな…」


「・・・・・・」


 あ~あ・・・きっつい鍛錬知れないのに、俺から視線を外さなかっただけでなく、強い魔物がいないかと周囲を警戒してなかったんだから、自業自得だよね?(まあ十中八九、得はないけどぉ)。


「危険察知のスキルを確か持っていたよな?

 なのに何故、

 到着するまで反応できなかった?」


「・・・・・・」


 答えられる訳ないよ?だって俺を凝視してたんだもん。


 そっちに意識は向いてなかったからね。


 それ指摘したら、どうなるかねぇ?


「あの、副団長殿はリョー…

 「リョータが何者か気になり過ぎ、

  注意緩慢となっておりました、

  申し訳御座いません!!」」


 Sクラスに在籍する候補生の1人が、リョータを凝視してるAを目撃しており、その事を伝えようとしたのだが、その言葉に被せるが如く、自白したA。


 あれ?自白なんてしないと思ってたのに自白しちゃってるや。


 あぁ…団長さんが怒り心頭だわ。


 雷落とされるよ?


「ほぉ…。

 リョータが何者であると答えればスッキリするのか、

 教えて欲しいんだが?」


「ば…化け物ではないか…と…

 思って…」


 うおっ!?何でそこで「化け物」って単語、出てくんの?


 相手の見た目は子供で「孤児だ」って知ってる筈なのに…何処から化け物って発想、出たの?!


「会話を交わし、

 文字を書け、

 魔物を討伐し得る猛者が…

 化け物だと?

 リョータは化け物だと言えば、

 納得するのだな?」


「いえ、あの、その…」


 もう討伐報告そっちのけじゃね?一応、忠告しとくか。


「団長さん?

 上位種の話、

 他の団員さんと共有しなくていいの?」


 そう指摘すると


「・・・そうだな。

 コイツ(A)の処分は後で下せば十分だな。

 指摘してくれて助かったぞ」


「流石、王都で起きたスタンピードを終息させた猛者だな」


 …ここあの時の助っ人がいたんかーい。


「え…王都のスタンピード…?

 確か上位種、

 キングが生まれ、

 Eランク以上の冒険者が、

 駆り出されSランクの冒険者が終息させ・・・

 た…と…まさか…」


「さて候補生諸君は鍛錬を続けて欲しい。

 リョータは証言者として同行するように」


「「「はい」」」「はぁ~い」


 やっぱ「そう」なるよね~。


 上位種に気付いたのは俺だし、倒したのも俺。


 本来なら副団長さんが危険になったら候補生を守る為に動く筈が、10歳の子供を囮にしたんだもんな。


 キツイ鍛錬だけで終われた筈だろうけど、これって騎士の称号を剥奪されたりせんかね?


 それくらいの事、ヤラかしてるもん。


 まあ団長さんの判断を知る事は出来ないだろうけど、報告はしないとな~。


 リョータを除いた候補生達は、鍛錬所に向かい、リョータと団長、そして副団長2名は団長の執務室へと向かう事となったのだ

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