第106話:魔法学校寮、入寮

 前回、見学させて貰った空き部屋が俺に割り当てられた部屋となった。


 1人1部屋で3食つき。


 曜日も日本と同じだった事に最近、気づいたのは御愛嬌ごあいきょう


 休日は土日らしく、学校の外に買い物に出る際は許可が必要だそうで、何を買いに行くかまで申請しなければならない、と言われた。


(まあ、そりゃそうだよな。

 授業に関係ない品を持ち込まれて「つまみ食い」されたり、

 副業されたら困るもんな)


 決められてしまった職業、以外の職に手を出す人がいるからだそうだが、確かに剣術を希望していたのに魔法適正と言われ、諦めきれず剣術を「こっそり」習得しようとして怪我をしてしまっては、学校の責任が問われるのは間違いない。


 学業に必要な本や紙、ペンシールとケーシ(消しゴム)は無料で支給。


 1年生で貰う本は卒業するまで使えるくらいの内容が入ってると言われ、そりゃ便利だ、と思ったのは内緒。


 魔法の本、魔法陣の本が貰える本と言われ、他に休日を寮で過ごす人の為に小説などの本を買って保管するのは良いらしい。


 買うなら王立図書館や領地内には、小規模な本屋があるから利用すると良いと教えて貰い、入学式は途中入学なので省かれるとのこと。


 授業は明日からで今日は学校内を見て回っても良いし休んでも良いと言われ俺は、学校探索に乗り出す面々と共に1年が使う場所を見て回る事にした。



 * * * *


「それにしても結構な広さを持ってたんだな」


 一番先頭を行く同級生Aが発言したのをキッカケにして、次々と感想が語られて行く。


「確かに。

 外からしか見た事が無かったから、

 もっと狭い空間かと思った」


 空間の感想を言ったのはB。


「魔法の練習空間なんて広かったもんな」


 広さを指摘したのはC。


「ポーションとか作れるのかな?」


 これは俺、素朴な疑問ってやつだと思ってた。


「「「お前、ポーション作る気か?」」」


 3人同時に言われてしまい、どうしたもんかと悩んだが「あの」設定が生きるなと思って


「作れたら作りたいと思ったんだ。

 僕、魔法の使い方とか記憶喪失になった所為せい

 覚えてないんだ」


 そう伝えると聞くんじゃなかった…と言った顔つきになった。


「そ、うか…言いたくない事だったらすまない」


 とA。


「ううん。

 知って貰ってた方がいいもん」


 まあ冒険者を目指す者もいるから教えて貰えるだろうとは思ってるけど、やはり知ると知らないでは雲泥の差が生まれるのは確実だし。


 校舎は広い方ではないらしく、授業を受ける教室とポーションなどを作成する教室、図書室、職員室くらいで広く取られていたのが食堂。


「「「「うわーーーーーーー」」」」


 食堂を見つけた俺たちの感想は「でかい」の一言だった。


「全学年が一堂に会して食事するのかな?」


 Aが素朴な疑問を口にすると


「そうよ、全員が集まって食事した方が効率が良いもの」


 と俺たちの声を拾ったのは、俺が見学を望んだ時に声を掛けてくれた先生だった。


「あ、あの時はお世話になりました」


 お礼を告げると先生も「あの時、見学に来た子」だと判ったからなのか、嬉しそうに破顔し、昼食の時間だからと1年途中入学区域に俺たちを案内してくれたのだ

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