第97話:久しぶりの採取依頼は無理だった・・・が

 リッツェの商業ギルドで嫌な思いをして3日目、リョータはリッツェの冒険者ギルドへ採取依頼を受けようと思い、訪問していた。


 う~ん…流石にBになると採取は見つかりにくい薬草くらいしか無い・・・か。


 FやEランクは薬草採取か手伝い「しか」依頼書は貼られて無いのだが、D、C、Bともなると討伐依頼の方が多くなる。


 薬草を知りたいから受けられないか聞いてみるか。


 薬草採取の依頼を剥がさず、受付の女性に質問を投げかける事にしたのだ。


「すみませーん」


「あらぁ、リョータさん。

 今日は討伐に向かわれますか?」


「あのね、僕、薬草を知りたいんだけどランクBでしょ?

 下のランク依頼を受けたら駄目だよね?」


「そうねぇ…流石に1つ下くらいなら受けられるのだけど、

 3つともなると…無理ねぇ」


「そっかぁ…」


 受付嬢が残念そうにするリョータに解決方法を提示する。


「だったら王立図書館へ行くのはどうかしら?」


「おうりつとしょかん?(王都に図書館なんてあったっけ?)」


「えぇ領地には大きな図書館は無いのだけど、

 王都まで行けばギルドくらいの大きさの図書館があるのよ。

 そこなら図鑑も置いてるでしょうし、薬草園もあったはずよ」


「う~ん…そうなると護衛依頼とかで行くしか方法ないよなぁ」


 リョータの「転移」なら一瞬で王都近くの森に飛ぶ事可能である。


 だが、それをしないのは「自ら巻き込まれる事を避けたい」と思ったから。


 今は「巻き込まれ回避」を習得したおかげで、巻き込まれ体質消えたに等しい状態にはなっている。


 とは言え自分から「巻き込まれに行く」事を避けたいのだ。


「そうねぇ…

 護衛で向かうとしてもわよ?」


「・・・げ・・・」


 あからさまに「嫌」そうな顔をしたリョータ。


 あの令嬢がフェンリルである小桜を「狙っている」と「知っている」からこそ避けて通っている領地。


 護衛依頼を受けた場合、絶対に避けて通れない領地なのだ。


「他に方法があるのだけど…」


「え?あるの?!知りたい!」


 アヴェルを通らず王都に行ける方法が、自分の持つ「転移魔法」以外にあるのなら知りたいと思った。


「今は名も無き村と化してしまってはいるけれど、

 グリフォンを乗り物として使役した村があるのよ。

 その村からグリフォンで上空から通過すれば、

 巻き込まれる心配も無い筈よ?」


「グ・・・グリフォンが…

 そんな近くにいたの…?」


「リョータ君が思っている程、

 近くは無いけれど、

 王都に向かうよりは近いわね。

 行ってみる?」


「うん!」


 もう即決に近い状態だった。


 小桜からいると言う情報は貰ってたが、何処にいるか知らなかった。


 村の名前は既にすたれたらしく、地図に記載されてないと言う。


 だが、場所は教えて貰いリョータは小桜の背に乗り、その村まで走り抜けるのであった

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