第188話:魔道具を付けられた経過は…

 琥珀によって取り外され、狂暴化していたカメレーオンは「きょとん」と「何が起きていたのか判らない」と言った顔つきになり


”申し訳ないが、

 何が起きたか教えてくれないだろうか?”


とリョータに自分が何故、固定された上、従魔たちに囲まれているのかを問いただして来たのだ。


「もしかして…(付けられた)記憶がないの?!」


”それが…気づいたら従魔に囲まれ、

 ワイバーン殿が襲来してる状態でして…

 今まで自分が何をしていたのかすら、

 判らぬのです”


「・・・魔道具の影響で、

 子供に人間を餌として与えようとしてたんだ。

 それだけでなくランクもS3つにさせられて…

 草食だったのが肉食になってたんだよ」


 カメレーオンの顔が「ガーン」と言う台詞が似合いそうな顔つきになり、ワナワナと自分に魔道具を付けたであろう人物に対し、怒りを露わにしたのだ。


”あやつめ!

 彼奴きゃつらの所為せいで、

 子供らも危険に晒されたと言う事か!?

 許せん!!”


彼奴きゃつ・・・?

 もしかして道具を付けた人物に心当たりがあるの?!」


”ああ。

 数か月前ではあるが、

 1人の冒険者が我の背に異物があるから取ってやると言い、

 流石に背中は見えぬ故、

 取って貰った事があるのだ”


「うわぁ…騙して付けたんだね。

 その人」


”恐らくな。

 自分では見る事は叶わぬし、

 子供らに聞いたとて、

 見た事も無いものであれば、

 判らぬと言うしかないであろう?”


「そうだね。

 どうする?

 そいつに何かしら罰を与えるなら、

 ワイバーンさんに協力して貰って僕が手伝うよ?」


”…いや。

 今更そやつめに罰を与えたとしても、

 自分が何をしでかしたかすら覚えてない可能性がある”


〖そうですね。

 彼の言う事は正しいです。

 人族は自分に都合の悪い事は忘れやすく、

 自分に有利な事柄は覚えているものですから、

 此度の一件は、

 何も覚えてない可能性の方が高いかと…〗


「ご都合主義・・・

 そんなん魔道具で魔物を苛めて何が楽しいんだか…」


”ですが取って頂き感謝いたします”


「普通に過ごせるようになって良かったとは思うけど、

 ダンジョンでは気を緩めない方がいいよ」


”え…?ここはダンジョンだったんですか!?”


「へ?!まさか…フィールドにいる魔物なの!?」


〖え、ええ。そうなのですが…

 自分は迷って入ってしまったと思っておりました〗


「なんつー事をしやがるんだ」


 胸糞悪いったらありゃしない。


 その冒険者にも「同じ体験をさせてやりたい」と思ってしまったリョータではあるが、カメレーオンは断罪を望まなかった。


”油断してしまった私が悪いので、

 怒りを抑えて下さいませ。

 我が子らと共に戻れるだけでありがたいですから…”


 取り敢えず今いるダンジョンを攻略しなければと考えを改め、死闘になりそうだった階層を後にしたのだった

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