第39話:学生寮を見学(3)
案内してくれた先生の前を失礼します…とばかりに頭を下げる。
「し、失礼しま~す・・・」
開け放たれている扉の奥、正面には窓が開け放たれ、カーテンがフワリと風を運んでくれる。
1階なので森林が見えるだけではあるが、心地は良い。
右側には水回り…と言っても洗面とトイレがあるだけ(風呂は無いのが当たり前と思ってはいるが…)。
左側にはベッドと机が置かれ、扉横の空間にクローゼットが常設されているな。
正面窓際には本棚として使える棚が空の状態で置かれていた。
「すごい…」
「生徒となれば学校で使う備品は、
無料支給される事になっているから、
身1つで学校に来る事も可能なのよ?」
マジですか…。あ~、そう言えば俺を養子にって望んだ領主様が大魔術師だっけ。
「領主様が
その恩恵ですか?!」
魔術師として活躍していたであろう領主が、いずれ自分と同等の魔術師が誕生する「かも」知れないと思い、魔法を学ぶ生徒には特別待遇している…とか言わないよね?
「あら、推察力が素晴らしいのね。その通りよ?
領主様が次代の魔術師が生まれる可能性も視野に入れられ
魔法学校と騎士学校を創設したのよ」
マジですかぁ…。
みんな「残念な領主」って事、知らないから、こぞって次代の大魔術師を目指す子供も多いって事か。
「・・・見せて頂き、有難うございました!」
「授業内容を見学しなくて大丈夫?」
「大丈夫です!
楽しみに取っておきたいです」
「ふふふ。
基礎知識を1年もかけてマスターする事に
飽きてしまう生徒もいるから、覚えておいてね?」
「はぁ~い」
基本的な学びを「退屈だ」の言葉で飽きてしまうのは、勿体ない。
魔法の無い世界から転生して来た俺からしてみれば、魔力コントロールなど覚えなければならない事だらけだからな。
普通の生徒と違う雰囲気になりそうだが、何とかなるか?
ああ、でも巻き込まれ体質だっけ。
何かしらに巻き込まれてしまうのは確実だと思っておけば、対処は可能かな?
そうだ、聞いておきたい事があった。
「そう言えばフクロウさんが飛んでたけれど、
学ぶ事が決まったら、
僕にもフクロウさんから手紙が届いたりするのかな?
フクロウさんが届けてるのが家族だけなら、
孤児の僕はフクロウさんと仲良しになれない…よね?」
「そうね。
フクロウは無理かも知れないけれど、
他の動物なら使役も可能になるわよ?」
「しえき…?」
もしかして…もしかしなくても、テイムした魔物と一緒に戦えたりするのか?
「魔物や小動物に名付ける事で使役する事も可能で、
一緒に戦う事も空を飛ぶ事も…そうね…
色々と出来る事もあるから、
テイムと言うスキルを持っているなら、
使役して学校に来る事は許可できるわね」
「それは凄いね」
現状では動物とは出会って無い。と言うより目撃しかしてない。
ステータスで「テイム」出来る事は気づいていたから少しワクワクしてしまう。
使役したいな~、と言うのが顔に出てたらしく、案内の先生にクスクスと笑われてしまった。
「じゃあ9月の入学に間に合うように来るつもりなら、歓迎するわ」
「うん!知りたい事を覚えたいから、
宜しくお願いします!!」
担任になる…訳では無いが、関係者にペコリと頭を下げ、見学を終えギルドの宿舎に戻って行った。
まさか見学させて貰った部屋が自室になるなど、思ってもいなかったが、魔法関連を勉強できる嬉しさで場所を綺麗さっぱり忘れてしまうリョータである
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