第350話:本人確認

 棺を安置したは良いが、中が本当に彼なのか、見て貰わなければならない…と思ったリョータ。


「一応、彼だと言うのは団長さんが確認してくれたから、

 確実だろうけど、見て貰えますか?」


 そう声を侯爵に掛けていた。


「そう…だな…」


 運ぶ時に釘打ちする事は無いので、被せただけの状態で運んでは来ていた。


 なので開けやすいよう加工した状態で棺の蓋をズラし、中に入っている骨をムーア卿に見て貰った。


「坊ちゃま…が…この様な…お姿で戻られるなど…」


「…確かに愚息だな」


「見ただけで判るの?!」


 もっともな疑問を口にしてしまったのはリョータ。


「あ、ああ。君は最近まで記憶が無かったのだな。

 家族には特殊なスキルが備わっておってな、

 事故で亡くなり骨となってしまった場合のみ、

 使えるスキルでな。

 『本人確認』と言うスキルで、

 元の姿を映し出してくれるのだよ」


 なるほど…俺にれが備わってないのは、日本でも異世界でも家族がいないから…か。


「そうなんだ…良かった…じゃないよね。

 こんな姿で戻らなくてはならなくなって…

 ゴメ…「何度も言うが謝罪は不要だぞ?」あ…」


「そうだぞリョータ。

 お前が屍食鬼グールとなっていた彼を討伐しなければ、

 村が消滅し町まで被害がおよび、

 更なる屍食鬼を生んでいただろう。

 勿論、屍食鬼グールだけではなく、

 屍食鬼グーラもだが…な」


「団長さん…」


 謝罪はいらぬと言った侯爵に続き、団長が謝罪が不要な理由を明かしてくれた。


 それにより、リョータの負担は軽減できたようだった。


「リョータの生まれた場所では、

 この状態で土葬するのだろうか?」


「違うよ。この状態から骨を壺に入れて…

 お墓に壺ごと安置する方法を取ってる」


「骨の壺・・・?」


「僕が生まれ育った場所は、

 それほど土地は多く無くてね、

 1つの墓に何人もの骨を収められるようにしているの。

 墓の大きさも様々あったよ?

 だから侯爵様の先祖が墓を何個も作っているのなら、

 彼だけ別にする方法もあると思うよ?」


 エーテルディアで初めての亡くなり方…ならば納骨の方法を作っても良いのでは?とリョータが提案したとしても、受け入れて貰えない可能性がある。


 とは言え、口に出してしまった後に「しまった!」と思うのもリョータで


(やっべ、こんな事を提案したら、作り方を教えて欲しいって言われそう)


 と思ったのだ。


「ならば骨を安置する墓と言うのを新しく作る方法もある…

 と言う事だろうか?」


「今までは人の形で安置、

 出来てたんでしょ?

 今回は、彼が魔物化してしまって、

 人としてではなく魔物となってしまったが為に、

 骨になってしまった訳だもん。

 違う形で安置する方法しかないでしょ?」


「「「なるほど」」」


 3人の男性が同時に納得してしまう程、有用な方法だったようで、納骨方法から墓の作り方まで、レクチャーする事になってしまったのだった(何でだ)


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「@Feyn」様の感想文が原因で一旦停止しておりましたが

現在は再開しております^皿^

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