第28話:武器屋(1)

 ギルドから報酬を持って運べるように工夫された袋は支給されているらしく、俺にも袋に入れられ初めての報酬を貰う事が出来た。


 が、声は少しだけ戻って来た感じはするけれど、無理したくないから確実に会話が可能だと判断できるまでは筆談だな。


[そうだ、僕でも使える武器ってあるかな?]


 大人の武器を扱う場所が存在すると言うのは、日本で読みふけってた小説にも出て来てたから、あるとは思うんだけど、子供が冒険者になる小説って、多くないんだよな~。


 扱っている場所があるなら見たいし選んで研究したい!


 無ければ大人の武器を見せて貰って自作するしかない・・・か。


「あるぞ?

 子供の冒険者用に作られた武器から大人の武器まで、

 取りそろえる事が定められてるからな」


 な・・・ん・・・だ・・・と?!


 決定事項で子供用の武器も作られているのか。


[場所を教えて下さい!]


 教えてくれるだろうけど、願い出ないとな~。


「だったらリッツェの地図を渡そう。

 子供でも判るようになっているしな」


[ありがとー!](地図とかあるの・・・当たり前か)


 国内の地図が描かれた紙片は、確かに子供となった俺でも余裕で判るようになっている。


 何故?って、書かれている文字は異世界こちら文字だけど、俺に見える文字はだもん。


「それで何処か判るだろ?」[うん。ありがとー!早速、行ってみる~]


 地図片手にギルドを出て行くが、教えてくれた職員の呟きを拾ってしまった。


『それにしても不思議な子供だな。

 あれくらいの子供だと地図なんて筈なのにな』


 マジか・・・やらかしちまった?!仕方ない、腹括っとこ。


 地図を見つつ、武器屋の場所を探し目指したが、看板に剣と盾が描かれているので、直ぐ見つける事が出来た。


 うわ~・・・まんまだな。


 剣と盾で武器屋を表してんのか。


 先ずは筆談に使う文面を書いて・・・と。


 カランカラン・・・と来訪者が判る仕組みにしてるらしく、音がして中から「はーい」と言う女性の声が聞こえて来た。


「あら、小さなお客さんだねぇ。

 いらっしゃい」


[ギルマスに殺され掛けて

 声が出なくなってるので筆談ですみません]


 ギルドでの事を知らないであろう女性に対して、書いた紙片を見せると


「あらあらまあまあ、

 マスターやらかしたのねぇ。

 君の武器を見に来たのかしら?」


(良く「やらかし」てるんだ)


[うん!見せて下さい!!]


「剣と弓、どちらを使う予定か決めてる?」


 あ~・・・弓は憧れではあるけれど、本格的に勉強してからじゃないと危険だよな~。


[んと剣!]


「ふふふ。

 弓は慣れが必要だって知ってたのねぇ。

 少し待っててちょうだい」


[はーい]


 記憶が無いって事を知らないからだろうな、弓は鍛錬が必要だと「知っている」と思ってくれた。


 それは良いんだが・・・オリハルコンやらミスリルが組み込まれた武器・・・普通なら莫大な金額を取る筈だろうに、ここに書かれてる価格って間違ってないかね?


 日本の価格に置き換えられないだろうけど、多分こうなるのか?


小銅貨1枚=10円

 銅貨1枚=100円(小銅貨10枚分)

 銀貨1枚=1000円(銅貨10枚分)

 金貨1枚=1万(銀貨10枚分)

大銀貨1枚=10万(金貨10枚分)

大金貨1枚=100万(大銀貨10枚分)

白銀貨1枚=1000万(大金貨10枚分)

白大金貨1枚=1億(白銀貨10枚分)


 それを踏まえて見れば安さが浮き彫りになる。


  オリハルコン剣:銀貨1枚(1000円)

  ミスリル剣:銀貨4枚と銅貨1枚(4500円)


 普通、オリハルコンの方高額な筈。


 俺の知識には無いが、ここではミスリルの方が需要があるのかも。


 ・・・こんなに安くて店、やって行けるのか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る