第140話:格闘(1)

 ここから4話ほど、戦闘シーンを詳細に記しておりますので、苦手な方はスルーして下さい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 先生がくずおれた瞬間に駆けつける事が出来たリョータが


「みんな外に向かって走れ!」


 と何が起きたか「見えていた」為、1・2年生に向かって叫んでいた。


 その声に反応してバラバラに逃げ出してくれ、被害は最小限に留める事が出来、ホっとした。


「・・・ほんの一瞬を見破れた・・・と言う事か」


「さあね…(ドラゴンさん、俺の声、聞こえる?)」


〖あぁ、襲来したのが人か魔物か把握できたのだな?〗


「お前1人で何が出来る」


「少なくとも足止め出来るんじゃない?」


 逸れドラゴンって鑑定に出たんだけど、心当たり無いですか?


〖なっ?!

 あやつ…人化できるジャーチが襲来したと言うのか?!〗


 そうみたい。


 ジャーチが仮の名って鑑定にも出たから…。


「くっくっく…子供1人で足止めとは…

 オレも甘く見られたものだな」


〖我が到着するのは30分は掛かってしまう。

 それまで耐えられるか?〗


 …判らない。


 今まで対峙した事があるのは、SSが最高だから…。


「甘いかどうか試してみれば?」


〖何とか耐えてくれ。

 ドラゴンに弱点は無いと言える。

 だが毒には弱いのでな、

 刃物か魔法で毒を摂取するよう仕向けられぬか?〗


 やってみる…でも毒をぶちまける余裕が生まれるかは…。


〖手伝ってくれるS級の猛者はおらぬのか?〗


 来る予定ではあるけど、何時になるかまでは…。


「くっくっく。

 そんな弱い魔力で対峙しようと言うのか?

 笑止。

 お前を瞬時に抹殺し、

 多くの子供らを殺し王への土産とするか」


「・・・王様…?(ねぇ、もしかして逸れドラゴンって…)」


〖あぁ。

 我が国から追放したドラゴンで戦闘狂なのだ〗


 うわぁ…最悪。


 子供たちの遺体を土産にするって言ってるよ?


〖あやつめ…未だ自らが強いと主張する気か〗


 強さだけで王になろうって言うの?馬鹿だね。


「そんな事…させないから」


 ボックスの中に入っていて使う事は絶対にない、と思っていたアイテムを出せるよう準備しておく。


 それは面白半分・・・と言うか実験的に作った猛毒ポーション。


 まさか、こんな時に使うとは思ってもいなかった。


「口は達者だな」


 目撃している先生の目には一瞬で間合いを詰められたように見えているのだが、リョータから見れば普通に挑まれ剣と剣が合わさった状態。


「・・・僕を甘く見ない方がいいよ?」


 魔力の1割ほどを開放しただけで逸れドラゴンは顔を青ざめさせた。


「なっ…?!

 さっきまで…

 そんな魔力を感じなかったのに…」


「そお?」


 1割開放して顔を青くするなら全開放なんてしなくて対応できちゃう?


 まあ対峙してみなきゃ判らないやね。


 魔法の実験は大・中・小で試している。


 そうしなければ「建物破壊」や「魔法被害」を出しかねない程、危険だと認識してるからでもある。


「こうなったら全力を出すしかなかろうな」


 人化を解きドラゴンへと姿を戻すべく、広場へと出たジャーチ。


 10倍の体躯となったジャーチは「厄災のドラゴン」と呼ばれる存在でもあったのだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る