第88話:伐採終了したけれど…

 リッツェの森に分け入り、人が入り込まないであろう場所まで入って行く。


 流石に此処までは入って来ないよね?


【えぇ、この辺りは強い魔物が多いでしょうから

 来ない確率は高くなりますわ】


 到着した場所で5本、伐採し更に奥地へと入って行き5本…と約10箇所で5本づつ伐採し、小桜を影に控えさせてからギルドに戻り、依頼達成の報告と同時に報酬を1枚だけ大金貨を崩して銀貨も1枚だけ崩して受け取った。


 とんでもない大金持ちになってしまったが、大金を持っていると知るのはギルドだけ。


 だと思っていたのだが、何処かで見て居たであろう阿呆に絡まれる事となる。


 勝手に伐採しても罪にならない、とは言っても、森を破壊する程の伐採じゃないから密集している場所からの伐採を慣行するか…。


 リッツェからアヴェルに向かう門へと歩いていると


「おい!金を出せっ!!」


 とガラの悪そうなおっちゃんが声を掛けて来るが、俺は無視を決め込んで足早に門番がいる場所に向かって行く。


 やべぇな…。ギルドで大金を受け取る所を見られたのだろうか?


 このままじゃ恐喝されるの間違いなさそう。


 危機感を持って門番へ、助けを求められる範囲にたどり着く前に捕まってしまった。


「やっ!放してっ!!誰か!!」


 その声を拾ってくれたのは門番。


 首根っこを掴まれ、足をバタバタさせ嫌がっている俺に気付いてくれたのだ。


「何をしているんだ!その子を放しなさい!!」


「うるせぇっ!子供ガキの癖に大金を持つのが悪いんだ!!」


「だからと言って、

 無理やり子供から金銭を奪い取ろうとすれば、

 捕縛対象になるくらい、判っているだろう?!」


「それでもだよっ!

 子供ガキは大人しく勉強でもしてればイイんだっ!!」


 腕に抱え込まれ、持っていたであろうナイフがリョータの首元に突き付けられる。


 ああ…小桜、出しとけば良かったな…。


 納品だけだから…と小桜を影に控えさせたままギルドに戻ってしまっていた。


 アヴェルに向かう前に小桜を呼び出すつもりで、ギルドを出た結果が今の状況なのだ。


 絶体絶命の大ピンチなのだが、リョータには勝算があった。


 抱え込まれた状態であっても、抜け出す手段として、魔法を使う事を決めていたのだ。


 この状態で雷魔法を応用した、スタンガンのような威力を指先に持たせたら

 逃げ切れるかな?


 そう親指と人差し指をコの字にして間に雷を発生させ、スタンガンのように使おうと計画したのだ。


 何せ上半身は固定されているが、下半身と両手は自由に動かせる。


 ならばと隙が出来るのを見計らっているのだ。


 隙あらば魔法を使って逃げ出せるんだけどな…金銭に執着する輩は必死だからね…。


「だからと言って、冒険者が稼いだ金銭を奪い取る事は出来ないぞ?!」


「うるさい五月蠅いウルサイぃ!!」


 刃物を振り回しながら門の外へと向かおうとする犯人…。


 意識が門番に集中しているからこそ「今だ!」とリョータはスタンガンを発動させた。


「スタンガン!(極小)」


     ビリビリっ…


「いっ!?」


 一瞬で気絶して後ろに倒れた犯人。


 リョータは腕から解放されたと同時に、受身の体制で逃げだす事に成功し、リョータを拘束していた輩は、門番によって捕縛されて行った

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