第19話:冒険者登録(2)

 ギルマスがフリーズ状態のハンナさんに聞いてくれてるが、反応がないって事で助け舟ではないが、俺が話すか。


「んとね、登録しても良いんだったら教えてくれる?

 ハンナさん、戻って来そうにないでしょ?」


 これだと何分かは、戻って来そうにない。


「あ~・・・お前、しっかりしてるなぁ。

 じゃあ魔道具を持って来るから、そこで待ってろ」


「は~い!」


 ジーナって人は他の職員さんたちから連れ出され、職員の資格を剥奪されるらしい。


「嫌よぉ!あたしぃ~小さい男の子を囲いたいのよぉ!!

 この仕事、天職なのにぃ~!!」


 あ~本性を現したみたいだな。


 俺くらいの年齢、しかも男の子限定で囲い込んで性的欲求…で合ってるかは知らないが、満たすつもりだったんだな。


 自警団(ってか騎士っぽい集団)に引き渡され、彼女の自宅も捜査されるらしい(囲われてる子供がいない事を祈る)。


「待たせたね」「ううん」


「ハンナさん・・・は戻って来てない・・・か、

 この魔道具に右手を乗せてくれ。

 それで登録が可能になる」


「わかった~」


 ステータスを見る時と方法は同じか。


 なら怖がる事は無いな。


 乗せて数秒、水晶玉からカードが出て来る辺りは不思議だな。


「よし、リョータの身分証にもなるから大事にしろよ?

 それから職業が決まったら登録し直しに来なくて良いからな?」


「え?それって自動的に登録されるって事?!凄いね!」


 職業やら魔法やら覚えたら登録しなきゃ駄目だと思ってたけど、自動で追加してくれるなら有難いや。


「あははは!そうだな、凄い事だ。

 なくさぬように持ってな」


「ありがとー!」


 ようやくハンナさんが呆けた状態から戻って来たらしく


「あ、あら、ごめんなさい、

 マスター手続きをして下さったのね」


 と申し訳なさげな表情で話し始めた。


「もう終わったから今からでも採集なら出られるが、

 どうする?」


 早速・・・と行きたいところだが


「んとねお金を掛けなくても泊まれる場所を教えて下さい!」


 現状、日本の通貨しか持っていないからな。


 ここの単位が「円」な訳ないし、何と表現するかも知らないからな。


 所持金なし・・・でも宿泊できる場所があるってハンナさん、言ってたからマスターでも教えてくれる・・・よな?


「ああ、それならギルドの4階だ。

 今から行くか?」


「うん!」


 ここが簡易宿泊所も兼ねてたのは知ってたけど、無料で宿泊できるって万能なギルドだな。


「リョータくん、リッツェから出てしまうの?」


 あ、ハンナさん少し寂しそうだな。


「ううん。魔法の事も勉強しないと覚えて無いし、

 文字も書けるか判らないでしょ?

 学校に行けば教えて貰えるって聞いたから、

 覚えるまではいるつもりだよ?」


 まあ、こう言えば嬉しそうな顔になるのは当たり前だな。


「魔法を覚えて無い…?

 文字が書けるか判らない?

 どう言う事だ?!」


 ギルマスの疑問は判らなくないが、みんながいる場所で正直に答えたくないなぁ。


 ギルマスの声が大きかった所為せいなのか、酒場にいた冒険者たちの視線が一気にリョータへと集まっているように見受けられた。


「あのマスター、

 いくらなんでも此処では・・・」


 ハンナさん、指摘ありがと!


 そしてマスター気まずそうな顔になってるね。


「そ、そうだな。

 私の執務室で教えてくれるか?」


「勿論ですわ」


 登録できたけど、やはり文字が書けない「かも」知れないと言う事と、魔法を「覚えて無い」事がギルマスは不思議に感じたらしい。


 そりゃそうだよね、この世界に生まれたら恐らく生活魔法は親から教えて貰えるだろうからね。


 それに「むやみやたらに魔法を攻撃に使っては駄目」って教えられると思うし、喧嘩勃発=魔法攻撃=大けが…じゃあマズイってかヤバイもんね。


 俺は魔法や文字は教えて貰えるんだろうけど教師役ての?上級冒険者が付いてくれたりすんのかな?あ、でも拒否られる可能性もある…よね(はあ)

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