第294話:閑話~サミーの雑貨屋で見つけたモノ

 時は遡って、レイとの縁を結ぶキッカケを作った時、遠見鏡とおみきょうを手に取り、他に有効活用できる品でもあればな~と言う思いで、雑貨屋の中を検分して見つけたのが「藁半紙」と呼ばれる品に近い紙片だった。


 こんなトコに藁半紙なんてあったんかーい、ってか…ぜってぇ神様の仕業っしょコレ…。


「サミーさん、これって何?」


 リョータには「わらばんし」と言う日本語で表示されてるのだが、今までの経験値から「別の名前が付けられている可能性」が捨てきれなく、サミーに「何と呼ばれる品」なのかを確認する事にしたのだ。


「あらあら、そんなのが未だ残ってたのねぇ…。

 それね蝋紙ろうがみの副産物で出来たらしくてね、

 利用価値がないから無料で配っても構わないって言われてねぇ…

 持って帰っただけなの。

 だから品名としては紙片…と言うらしいわ」


 なんだろ…この丸投げ感は。


 多分だけど半紙とかコピー用紙とか言う名前があったんだろうけど、異世界こちらの表現に当てはまる文言…出なかったって事かねぇ。


 まあ蝋紙を作る過程で「出来てしまった紙片」って所から取ったとは思うが、丸投げ感…半端ねぇぞ。


「へぇ…じゃあ欲しいなら金銭、いらないって事?」


「そうねぇ…蝋紙を作れば作る程、

 出来てしまうらしいから、

 貰ってくれるのは有難いんじゃないかしら?」


「じゃあ欲しいならサミーさんに下さいって言えば貰える?」


「あら、持って帰ってくれるなら有り難いわよ?」


「じゃあ10枚くらい下さい!」


 10枚じゃあ足らないかも知れないが、メモとして使うならば半分とか4分の1とかに裁断して使えばイイだけだし(しっかり調べてなかったからこそ、そう思っただけだが…)。


 まあ異世界にほんにいた時から貧乏性ってか…ノートを無駄に使わないよう心掛けてたもんなぁ。


 そのくせが出ちまってるから仕方ない。


「10枚で足りるのかしら?」


「一応、買い物に足りないモノとかを書き記すには、

 これを等分すれば使い勝手はイイと思うから大丈夫!」


 まあ現状、A4サイズの紙片だと何かを描く事にしか使いそうにないって思ってるけどね。


 リョータはこの時点で、紙片が「大活躍する」なんて思いもしてないからこそ、そんな考えが出来ただけ。


 工業系の学校に通っていた訳では無いが、リョータは車を描いたり景色を描く事が好きで良く「賞」を貰ったりしていた(プロ級の腕前では無い、あくまでも素人級)。


 下手なイラストで「これは何だ?」と聞かれない程度の腕前ではあったが、その事が先に起こる事を援助する事になるとは思っていなかった。


「まあ足りなくなれば取って置くから安心していいわ」


「そんな贔屓扱いにしなくていいよ?

 普通で大丈夫だから…」


 何気にフラグ立てないで欲しい…ただでさえ、変なフラグ立ちまくってんだから。


 と思っているが、どうしても「巻き込まれマックス」が、フル稼働しそうな雰囲気は、残念ながら避けられそうにない

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