第190話:小さな村の大きな異変

 大きい街は有名ではあるが、ダンジョンが彼方此方あちこち点在する為、小さな集落が形成され、そこで物資補充や武器の手入れなどが出来るようになっている事をリョータはアヴェルに来た事で知ったのだ。


 そのような場所を自分の目で確かめたいと思い、近場の村へと向かった。


「確かに街に戻るには遠すぎて、

 物資が足りなくなった場合を考えれば、

 そうゆう場所があるのは当然なんだ…け…ど…」


 視線の先にある村からは、どうゆう訳か「ネズミ」が大量に逃げ出して、人々が追い払った跡が見受けられたのだ。


 それだけでなく、彼方此方あちこちに弔いの煙が昇っており、村が壊滅状態に陥りつつあるように思えた。


 リョータは村に入る前、自分に「結界」を張り巡らせ、小桜たちは影に控えさせた。


 何だろ…どっかで見た光景なんだけど…何処だっけ?


 生き残った青年なのだろうか、自分の親ほどの人物を2人掛かりで運び出そうとしているのだがフラフラと危険極まりなかった。


 そして担架のような物に乗せられた人物に視線を向けたリョータは、ようやく「何処で見た光景」なのかを「思い出し」血の気が引く思いがした。


 ま…さ…か…まさか、あの病気なのか?!


 不確定要素を取り除くのに最適なのは、時間軸が固定されてるものの、調べる事に最適なスマホ。


 「見えてる状況」を「調べ特定させる」事にしたのだ。


 検索欄に入力する言葉としたら…黒い斑点、高熱、死ぬ病気…これくらいか?


 早速、入力すると一番上に疑った名前が表示され、リョータが思い描いた病気だと判明したのだ。


【検索結果:ペスト。別名「黒死病」】


 俺が生活してた時代なら特効薬がある筈。


 それさえ使えば生き残った人たちを救える・・・救えるけど…。


 リョータは躊躇ってしまった。


 何故なら、それらを特効薬未来の薬で治してしまえば「英雄」扱いされる可能性どころか「聖人」としてあがめられてしまう可能性すらあると感じたからだ。


 この世界にある物で、黒死病を治す事は…?説明かもん。


【この時代に存在する薬草で、

 黒死病を完治させる事は出来ません。

 どうしても治したいのであれば、

 治療した人物を言及しないと、

 約束させると良いかもです】


 こっそり治せる方法は?


【…光魔法を病原菌に照射すれば、

 完治させる事は可能です。

 ですが村全体に光を放ってしまえば…】


 アヴェルで光が見えてしまう…と言う事か。


【はい】


 先ほど調べた結果を削除し、再び「ペスト、治療方法」で検索すれば、やはり抗菌薬を投与すれば完治する、と書かれている。


 だが、その治療薬は異世界あちらで開発されたモノ。


 それを異世界こちら使のか、迷ってしまったのだ。


 薬草の中に抗菌作用のある薬草ってある?


【…あります。

 ですが副作用の危険性があります】


 目立ってしまうのを覚悟して異世界あちらの治療薬を投与するか、あるいは魔法を使って病原菌を退治してしまうか、最悪、見て見ぬふり…と思ったが流石に出来ないなと溜息を吐き出し、目立ってしまっているんだから「ま、いっか」な気持ちで彼方あちらの抗菌薬を錠剤ならば水に溶かして飲ませる事にし、液体ならば点滴のような物を作って貰い、投与するしかないな、と腹を括った

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