第361話:先ずは…
先ず、聞かなければならない事を聞いて行き、作業に掛かろうと思ったリョータは
「ヘンリーさん、(鋳物砂を指し)この砂を使い、
(エンジンを指し)アレを形を取る事って、
出来るよな?」
と聞いたのだ。
「今まで見た事が無い砂だが、
異世界だかで使われているのだろう?
それは何かしらを用意しなければ、
大きすぎて砂を固める事など出来ん筈だ」
「あ~…そうか。
砂のままじゃ固まりにくい…か。
それと半分ずつ固めないと駄目っぽい…?」
ヘンリーは形を取りたいと望んでいるエンジンを外から見て
「この形が完成形だろう?
だったら半分に…出来ないのか?」
良く見れば、半分と言うかつなぎ目のような部分が見受けられた。※
「ヘンリーさん、ここ(つながってるっぽい場所を指し)…
くっつけてるっぽい…ですよね?」
「そう…だな。(はっ!)まさか…此処から上下に分けて、
型を取ろうとか言うつもりか?!」
「駄目かな?」
流石のリョータもググってみたのだが、現代のエンジンなら工程が動画などに掲載されているので作り方も何となくでも判る。が、馬車風の車まで詳細な事は掲載がなかった。
無いからこそ、現代式に近いエンジンの作り方を応用してもいいかな?と思ったのだ。
「駄目…ではないだろうが…このまま型取りたいんだろう?」
「そうなんだけど…上下左右、
どちらから取り出したとしても、
取り出した場所の形って崩れるでしょ?」
「あー…納得したわ。
だったら、この状態で重さが判らんから、
仮定の話として半分、
砂に押し付ける方法を取れないか?」
(その方法なら出来なくないが…鉄筋作りじゃな…
待てマテ!此処、魔法が使えるじゃねぇか!)
「俺の世界には木で作られた建物の方が少なくてな、
考えが及んでなかったんだが、
多少なりとも重さがあっても、
魔法で浮かせられるよな?」
「魔法で…物を…そりゃ出来るさ」
今で言うボンネット部分からエンジンを見て、取り出せるか?と言う問いをナビに伝えてみる。
(ナビさん、
{はい。大丈夫と推測できました。
最終的に付けられた形跡が残っておりますので、
出したとしても周囲の付属品は傷つかないかと存じます}
「エンジンだけ…
音もなく、静かに浮き上がるエンジンに、目の色を輝かしてるのは道具職人とヘンリー。
実験的に上げてみただけなので、元へと戻して行きながら「こりゃ説明を求められそうだ」と内心、溜息を吐き出したリョータ。
案の定
「「その品を何故もどした!」」
と言われてしまう。
「だって型取るにしても、砂のままじゃ無理でしょ?」
正論で返されては何も言えなくなるのが職人で、ヘンリーは
「そ、それも…そうか」
と渋々ながらも納得してくれ、鋳物砂を加工する方向へと進む事となったのだった
=====
※=明治から大正に掛けて活躍していたであろう車の見本は、
作者の検索方法が悪いのか、
エンジン部分の見本は出て来ず、
参考にしたのは「エンジンが出来るまで」と言う動画です
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