第183話:絡んだ阿呆が驚愕する

 謝罪の意思が感じられないと思ったリョータは、受付に向かいつつボックスに入れていたカードを手元に引き寄せ


「すみませーん。

 推奨ダンジョンを紹介して下さい!」


 と声を掛けた。


「リョータさん、いらっしゃい。

 聞いていましたのでカードを提出して下さい。

 見合ったダンジョンを紹介いたしますわ」


「お願いしまーす!」


 ギルドカードを水晶玉に通すと目が大きく開かれ、叫ぼうとするのを必死に抑えてくれてるのが、ひしひしと感じ取れた。


 わ~…。


 もしかしなくても「あの」ダンジョン上位だったとか言うんじゃ?


 まあ後でステータス確認してみっか。


「リョータさんならレベル関係なく、

 何処でも挑めますわね。

 でしたら……地下迷宮ダンジョンで、

 薬草を採集して来て頂きたいですわ」


「(ん?護衛依頼なら見たんだけど…)

 僕のランクって採集できないんじゃないの?」


「ダンジョンに挑みながら採集するなら関係なくなるのよ。

 何しろリョータさんが挑むのは、

 ダンジョンだもの」


「「「「「はぁっ?!」」」」」


 ・・・うん・・・思った通り、驚いてるね(ざまをみろ)。


「そんなダンジョンには貴重な薬草が点在してるから、

 逆に採取して欲しいとお願いしたいくらいなのよ」


「そうなんだ。

 ちなみに地下迷宮って何階層?」


「それが最終階層まで到達しないで戻って来て貰ってるから、

 確実に何階層って判ってないのよ。

 ごめんなさいねぇ」


「ううん。行けるだけ有難いから受けてもいい?」


「ふふ、勿論よ。

 気を付けていってらっしゃい」


 推奨ダンジョンを受け付けて貰ったリョータは、未だ呆けてる冒険者パーティの横を通り抜け地図と睨めっこしながら、ダンジョンが点在する門へと向かって行った。


~呆けた冒険者side~


「さてお前たちの処分をしなければならんのだが、

 落としたダンジョン依頼は受けるんだろ?」


 意地悪する為に10枚もの依頼書を引き剥がしたにも関わらず、未だに間違えであったとも言わず、意地悪する為に剥がしたとも言わず、その場に立ち尽くしたままなのだ。


 ギルマスから再度、問われようやく正気に戻ったリーダー格の男が


「ギ、ギルマスッ…奴は…

 いやはエ、Sランクなのか?」


 と問いかけギルマスは自分たちが意地悪をしたのは強者だと知らしめる為に、神妙な面持ちで、街道で起きた事柄の真相を伝える事にしたのだ。


「あぁ、そうだ。

 数か月前に王都に通じる街道で起きた事柄は、

 噂では聞いた事があるだろう?

 その出来事を解決したのはリョータだ」


 サー…と血の気が引いて行くリーダー。


 彼らはBランクのダンジョンに潜っており、緊急招集を


 人々が話す事柄や噂話では知っていたが、まさか終息に手を貸したのが子供でSランクだったとは思いもしなかったのだ。


「あのっ…ゆ、床に落とした依頼書は…

 レベルだけを見て取ってしまっただけで、

 た、他意は無いんです」


 意地悪するつもりで剥がしたと言ってしまえば罰が下されてしまうが、間違って取ったと言えば何とかなると踏み、レベルだけを見たと伝え、取り敢えずの罰則から免れる事が出来たと思い込んでいたが、ギルマスから1か月間パーティランクを落とすと言われ、肩を落としてギルドを後にするしかなかった(らしい)

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