第457話 設計は任せ裏山の開発は・・・

 ヤラかし神様が「落とした」で有ろう設計図は、異世界仕様になって居るらしく、専門家の人たちによって次々と用意が成されて行く。

「え…え?!いっ…一体なにが起きたん…だ?」

 テキパキと何かしらの作業を開始した職人たちに戸惑い、キョロキョロと視線を彷徨わせてしまうリョータ。

 それに気づいたのは事の成り行きを見守って居たアイザック。

「リョータ、心配しなくて大丈夫だ」

「ア、アイザック…様?」

「まあ『あんな』見た目が素晴らしい魔道具を見せられ、手元に資料と言うか、設計図が有っては職人は『ああ』なる。

 職人魂に火が付いた…と言う所だと解釈して欲しい」

「あー…」

 言われてようやく納得できた。

 流れ作業風に作り替えられていた倉庫の中で、車輪部分に関わる人たちが「ああ、でもない、こう、でもな」と繰り返し話し合う様や、馬車の本体に携わる人たちでさえ「此処は?あそこは?」と話し合って居るのだ。

「ここは職人たちに任せてしまって大丈夫だと思うぞ?」

「しかし…材料は…足ります?」

「・・・もしかして…なのだが、神様とやらが何か施しておらんかね?」

 そう言われ目が点になり

「・・・有り得ますね・・・」

 と材料が減る事が無い状態に「されて居る」いや「してある」可能性が見えてしまった。

「それより、この車とやらは裏山で実験するのだったのではないかね?」

 すっかり綺麗さっぱり忘れて居た裏山の開発と言うか実験場の開発。

 参道を作り、そこを登って車を「どう」頂上へと運ぶか…まで考えてなかったのだ。

「はっ!?そうでした!ちょっと見て来ます!」

 ダッシュで神様が居るで有ろう裏山へと向かうと「何故か」参道は出来ており、車の移動手段すら用意されてる光景に出くわす事となる。


「すっかり忘れてたなぁ…裏山の道づくり。

 目印だけ付けただけで色々と多忙を極めてたとは言え、参道づくりを忘れるとは思わ・・・」

 そこで子独り言は途切れてしまう。何故なら目の前には参道が作り上げられ、転移魔法陣が敷かれ、誰の目にも触れる事なく車が山頂へと移動できる状態が出来上がって居たからだ。

「はあぁ?!なんじゃこりゃ!」

「ああ、リョータか。この有様はニホンとか言う所の神々が我が山に干渉した事により出来上がった施設となっておる」

「・・・は?日本の神々が…かん・・・しょう?(又?!)」

「そうだ。ニホンのケンセツとか言う神から神託が下り、我の独断でメジルシとやらの付いた木を伐り、神が施設を設置なさった。

 そしてクルマとやらの移動は、魔法でどうにか出来ぬか?との相談に応じた結果、転移の魔法陣を見えぬ形で設置した、と言うのがこれまでの経緯だ」

 まさか、まさかの此処でも神のヤラかし…もう「おなかいっぱい」です、がリョータの本音だが、作って貰えた事に関しては有難く受け取る事にし、転移の魔法陣で施設のある頂上に行って見る事にしたのだった

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