第124話:不法侵入者の正体

 リョータが学校での自室として使っている部屋に侵入した者が、何をしているのかは「事細かく」魔道具と化した「防犯カメラ」に録画されているのだが、侵入した者が気づく様子はなかった。


「これだけ探しても強い秘密が無いのは有り得ない…」


 リョータが貴重品として持ち歩いている品を除いた、学校に必要な物ばかりが泥棒が入ったかの如く散らかされていた。


「何か…何かあ・・・

 「僕の部屋で何してるの?先輩」

 え…」


 自習時間は終わり休憩時間となっている為、何処かへ出かけていて戻って来たとしても不思議は無い時間帯。


 にも関わらず、侵入者…先輩Aは素知らぬ顔で


「い、いや…扉が開いたままになっていたので、

 誰かが侵入したんじゃないかと思って入ったら…

 この有様だったんだ」


 と、第一発見者を装ったのだ。


「(気付いて無いと高を括って白を切るつもり…か)

 …ふ~ん…

 この部屋に何もなかったことに驚いてなかったっけ?」


 びくっ・・・と体が反応してしまったA…。


「な、お、驚いてなんか・・・」


『これだけ探しても強い秘密が無いのは有り得ない』


 機械的な音声では無く、さっき防犯カメラを気づかれない状態で回収し、尚且つ、再生してみせ彼の嘘を暴いていく。


「っ・・・」


「あっれぇ?

 驚いてないなら何で僕が設置した品に先輩の声が入ってるの?」


 他にも声や仕草は録画されているが、リョータが戻る直前の事柄ならば「知らぬ存ぜぬ」と言い逃れ出来ないと踏んだからこそ出したのだ。


「先生に調べて貰うように頼めば、

 ここが誰によって散らかされたか判ると思うんだよねぇ…

 琥珀~出ておいで~」


<は~い>


 モモンの琥珀を呼び出すと


「この魔道具を魔術の先生に持って行ってくれる?

 多分、先生なら何故、

 従魔が道具を持って来たかを把握してくれると思うんだ」


<判りました。持って行けば宜しいですね?>


 従魔の声は相手に聞こえない。


 しかし何と返事をしたかは理解できたようで…


「や、やめてくれっ…この部屋を荒らしたのは俺だ!

 だからっ…」


 と引き留めようとしたが俺は、琥珀を先生の元へと向かわせた。


「だから?許せって言うの?!

 人の強さの秘密を探るべく、

 勝手に室内に入って色々と家探しして、

 この状態にしておいて謝罪なし?」


「うっ…」


「僕が何もかも強いからって家探ししたって、

 秘密を置いたままにする訳ないでしょ?

 例え持ってたとしても持ち歩くのが普通じゃない。

 何に対しての強さを知りたかったか判らないけどさ…」


 魔法の才能があるから知りたいのか…魔力が多いのだろうか?と言う事を知りたいのか…何が目的でリョータの部屋を探っていたのか判らないのだ。


「・・・るせないんだ・・・」


「ん?」


「許せないんだよっ!!

 お前のような子供が先生に一目置かれ、

 成績すら優秀で…大魔術師になるだろう…

 などと噂されるのは俺なんだよ!!」


 どうやら彼もアンソニー同様・・・いや、それ以上の想いを抱き、リョータの魔法の才能が「如何様いかさま」なのでは?と疑ったからこその家探しなのだ

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