第37話:学生寮を見学(1)

 魔法学校と騎士学校…どちらに行ったとしても寮は同じだろうと思い、魔法学校を見学に行けるかギルドに聞いて見る事にした。


 ただ、自分の適性が「全部」である事は隠さなければならない。


 そうなると希望学校を魔法にした事で「魔法適性があった」と思われる可能性が出て来るだろうと見越していた。


 ギルドに到着すると、選定の結果が気になっていたのだろうか、ケイトさんが不安そうに周囲を見渡している光景を目の当たりにした。


 何だろ、ここのギルド職員は心配性の人が多いんだろうか?


 不思議に思いながらも


「お姉さん、どうしたの?」


 と声を掛けてみた。すると、ケイトさんはバツが悪そうになって


「い、いえね。

 ギルマスがリョータ君にからと言って、

 メモを残して行方が判らなくなって皆が探しているのよ」


 ギルマスを探しているのだと教えてくれた。


 え…っと…ギルマスが行方不明…?


 まあ「責任を感じて自殺」って事は無いだろうけど、探してみるか。


【周辺検索サーチ


 ギルマスの顔を思い浮かべると、記憶した地図が表示され、赤い点で「ここにギルマス」と、書かれている。


「ねぇ。

 もしかしたら実家に戻っているだけかも知れないよ?」


 そう、表示された場所は武器屋で「バカ息子」と言い切ったおばちゃんが、切り盛りしてる場所が記されていたのだ。


「ええ~~~~?!

 そ、そんな身近な所ぉ?」


 そりゃぁ…俺が言うまでは「ギルマスが行かない場所」を探してたんだろうから、立ち寄り先は後回し、で実家は除外…してそうだもん。


「だって今、

 探してる所は普段だよね?」


「えぇ、そうね」


「だったら普段から

 探す対象から外してるでしょ?」


「あ・・・」


 遠回しな言い方ではあるけど気付いてくれたみたい。


「頭隠して尻隠さず」である。


「行ってみたら?」


 そっと背中を押してみると


「そうね、行ってみるわ」


 少しだけ怒り激オコ状態を内面に隠し、武器屋がある地域へと向かって行った。


 俺はと言うとギルドの中に入って別の職員さんに


「あの魔法学校の寮って見学できますか?」


 と聞いていた。


「確か希望すれば見学は、

 何時でも受け付けてくれていたと思うぞ?

 行ってみな」


「ありがとー!」


 開かれた学校とか凄いな。


 まあ日本では馬鹿な輩が学校に侵入したりするから、警戒を怠る事は無かったから違和感はあるけど、ここは異世界だもんな。


 えっと、魔法学校は…領主邸左側…?


 何あれ…ホグワーツ?!んなアホな。


 見た目が完璧「ハリポタ」じゃん。


 フクロウとか飛んで…るやね。


 フクロウだけでなく、様々な鳥類が空を飛び生徒の手紙を運んでいる様子が伺えた。


 勿論、ほうきに乗った生徒が、魔法を何かに向けて放つ様子すら見えているのだ。


「すげぇ…これぞ魔法の世界」


 学校と言うくらいだから校門もあると思い見ると、某有名小学校の校門か?と言えるくらい、立派な門構えがそびええ立っているのだ。


 そこには警備を任されてるのだろうか、騎士の恰好をした男性が2名、門を守るように立っており、不審者などが入り込まないよう見張っているようだった。


 ありゃ、騎士様だっけ?あの衣装は…警備の人だろうけど…これ、見学に来ました!って言って通して貰えなさそうな雰囲気…してるんだけど、大丈夫か?


 日本の大学だとオープンキャンパス時期って決まってたよな?だとすると異世界も決められた期間しか見学できないって言われる可能性…あるな。


 そうなると俺…不審者扱いになって見学できない挙句、牢屋行きの可能性が…?!


 その可能性を打ち消すようにブンブンと首を左右に振り、打ち消し、意を決して門を守る男性2名に声を掛ける体制を整えたのだ

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