第412話:雪深くなって行く森での生活は・・・

 ある程度の薪を用意し、本格的な雪の備えをしたリョータ。


 やがて冬の気配だけだった森が白く染まって行く様を目の当たりにして行く。


「しんしんと降る雪って…情緒あるな~って思ってたけど…

 寒っ」


 部屋は暖めて居るものの、日本家屋のように断熱材が入って居る訳でも無ければ、カーテンを閉めて居る訳でもない。


 厚手のカーテンでもして居れば「多少の冷気」は遮断できて居ただろうが、それすら出来ないまま動きまくるしか無かった自分を後悔するしかない状態…なのだが、そこは便利な道具の出番。


 スマホを取り出し「カーテン 厚手」でググルと、温かみの有る色から新緑を思わせる色まで、カーテンが有名なサイトが一番上に表示されて居た。


「色…センスねぇからなぁ…」


 一番無難な色…黒に決めて窓の個数を計算。


 必要枚数をサクっと購入して魔法で次々と設置して行き、それを見て居た小桜は


【魔法を…そんな事に使うとは…】


 と呆れた声を上げてしまう程に「規格外」な使い方をした。


「き…緊急事態だろ?こんな寒くなるなんて思って無かったし、

 対応すればイイって言ったの小桜だぞ?!」


 用心し過ぎてる感がして居たからこそ小桜は、寒くなればその時に対応すれば良いとアドバイスして居た。


 したのだが、まさか魔法でカーテンを設置するとは思って無く言葉に詰まってしまった。


【確かに言いましたが…

 魔法でカーテンを設置すると思いませんでしたもの…】


「1個づつ付けてもイイんだけどね、

 それだと小桜たちが寒いままだと思ったんだ」


 流石に個々が冬支度をして居た時と人に使役されて居る状態では、冬の越し方が違うのは判る。


 だからこそ、従魔となった自分たちを思って用意して居る事が嬉しかった。


あるじ…】『リョー君』[ご主人様]{お兄ちゃん}


 と、とにかく設置しちまうから温かい場所で待ってて!


 照れくさくなったリョータは、1階から2階へと逃げるように向かい、カーテンを1部屋づつ設置して行き、ようやく「錬金部屋」が出来て居る事に気付いた。


「何コレ…俺、コンナノ作ッテ無イ筈ダケド…」


 鑑定を掛けてみれば「錬金室」となっており、錬金術を実験したとしても、部屋が熱くなったり、火事になったりしないように魔法まで付与されて居る。


 嫌な予感がして過去の発言を思い出し、サー…と血の気が引いて行く。


 モシカシナクテモ錬金シタイナー…デ出来…チャッタ!?


 出来てしまった物は仕方ないにせよ、どんな部屋になって居るかは確認しなければならないが、先にカーテン…と調べたい気持ちを抑え、残りの部屋にカーテンを設置して行き温かさが格段と上がった事に気付く。


「カーテン1枚なのに…此処まで変わるか」


 2階なのでぜる音が聞こえる訳では無いが、煙突で暖められた空気で2階も徐々に温かくなって居るのだ。


 ポカポカと温まった部屋で揺り椅子(ロッキングチェアー)にでも座ってしまえば、速攻で寝てしまいそうなくらいの温かさとなり、フラフラとベッドへと足が向き、そのままパタリと寝てしまったリョータで有る(ちなみに自宅には様々な魔法は掛けた状態だ)

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