第296話:異世界初の乗り物への序章…?(3)

 詳細に記した車を作って貰うならば、馬車を作ってくれる場所になるのか?とは思っているが、如何せん「実在しない物体」を作って貰えるのかが一番の懸念事項。


「この形の絵を持って行ったとして、

 作って貰えない可能性の方が大きい…か」


 勿論、知らないモノを知れて嬉しい職人もいそうではあるが、流石に変人的な職人じゃなければ食いついてくれなさそうである。


 確かティングの領主様は策略家って話を町中で聞いたような気がするな。


 もし、この話を持ち込んだとして聞いて下さるだろうか…。


 相談するにしても面会して話を詰めなければならないだろうと思い、まずは手紙で「乗り物作成に関する相談事」と表記するか「乗り物開発に関する提案」として、したためた方が得策では?と思い、会って頂けるかと言う手紙を書く事にした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ティングの領主様


 初めまして、僕はリョータと言う冒険者で

 魔法剣士を目指す子供です。

 領主様に突然の手紙を出す事をお許し下さい。

 実を言いますと乗り物に関して思いついた事が

 御座いまして、相談させて頂きたく、

 又、率直な意見を頂きたく、

 面会して頂けたらと思い、

 手紙を出させて頂きました。

 つきましては訪問して良い日時を教えて頂けたらと思います。


                   リョータ

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「・・・めっさ違和感ありまくりな文章…」


 そりゃそうだ、普通の小学生が書く文章ではない(と思ってる)。


 どう見ても「商談しなれている大人な文章」だと思っているのだ。


 まあ最初が肝心って言うから、これくらい許容して貰えたらいいっしょ。


 でも「転移者」だと思われたら「転生者」だと暴露して…やめとこ。


 転移したと疑われたら誤魔化すしかないな、何せ巻き込まれマックス…。


 これ以上、フラグ立って欲しくなーい!


 かく、ティングの領主へ魔法便を送り面会できれば書いた絵を見て意見を貰えたらいいな…と楽観視していた。


 まさか…武闘派でもある領主から剣を向けられるとは、この時点では思いもしていなかった。


「さて、馬車の色は1つだけ?」


(いえ、木目を生かした馬車と黒をベースにした馬車の2種、

 御座います)


「そうすると車にするなら黒ベースだな」


 日本には赤、白、黄色、紫、ピンク、青、オレンジ…様々な色が存在していたからな。


 俺は専ら徒歩と自転車とバスと電車移動だったから、見るだけだったし…。


 あ~…色の開発も考えたら車の色も選べるようになる…か。


 色や大きさ、形など様々な項目を相談しなければならないなと、気合を入れなおし、領主からの回答を森に作った自宅で待つ事となったのだった

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