第384話:現場調査の準備
始祖竜からお墨付きを貰ったと見た目では証明できないな、と感じたリョータは
「山神様、開拓の許諾を頂けた…と言う事が、
現状では他人には判りませんよね?」
と疑問を投げかけてみた。
「おお、そうだったな。
開拓が済めば消える魔法の
それを施しておこう」
魔法の誓約?と言う顔になるのも仕方ない。
リョータが今日までに体験した誓約は書き記す形だったのだ。
山神様だからなのか、それとも実際に存在する魔法なのか?と言う疑問が生じていたが、聞いては失礼だと口をつぐんだ。
左手の甲にうっすらと魔法陣が浮かび上がり、痛みを感じないまま刻まれて行く様に目を見開いて
「はあぁ?!ま、魔法陣での誓約ぅ!?」
と
「説明なしで転生していたから知らなかったのだな。
私のように山を守っていたり、
海を守っているような魔物と誓約する場合のみ、
使われる魔法だ」
「・・・あー・・・そう言う魔法があるんですね…」
左手に刻まれてしまった誓約の魔法陣…刻まれる前に知っておきたかった…と言うのが本音。
しかしながら許諾を貰えて良かったと、思考の方向転換をした。
「リョータよ」
「何でしょうか」
「この山は獣道しか現状は歩く場所がないが、
職人と共に獣道から開拓していくのか?」
「…それはしません。
これより開拓する道筋が作れるかを調べたいと思います」
素直に獣道を遊歩道にする方が効率的なのだが、リョータは魔物とは言え山の神に守られてる弱い魔物が住み着いてるのなら、それを排除してまで道を作りたいとは思ってなかった。
道を切り開くなら、獣道ではなく、弱い魔物を守った状態で人が歩く場所を作れないか?を調査するつもりでいるのだ。
「そうか、そうか。
弱き魔物を守る為にも自分で道を見つけたい…
と言うのか」
えっとぉ…もしかしなくてもぉ俺が考えてる事が筒抜けとか?
「言われた事がないのか?
其方…顔に出ておるぞ」
「・・・アー…言ワレタ事、アリマスネ」
すっかり綺麗に忘れてたらしく、リョータはガックリと肩を落として返事した。
「落ち込まずとも良い、
その程度の表情変化では十分に観察せねば気づけぬ。
どのくらいの日数が掛かるか判らぬが、
この山を開発するのであろう?」
「はい…させて頂きたくて訪問しました」
「道案内として
向かうならば表情を隠す…とまでは出来ぬかもだが、
出さぬ努力をしなければならぬ。
まあ、最初は道など無い状態だからな、
木々の伐採は其方が行えばよい」
木の伐採…特に迷いの森と呼ばれる場所の木となれば、あの木工部が食いつきそうではあるが、今は内緒な開発。
伐採した木材は自分で保管しておこうと心に止め、交渉できた事を報告しようと、始祖竜の住処を後にしたのだった
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