第452話 先ずは現状把握から

 出来てしまった施設…と言ってよいか?は定かではないけれど、流石に放置は出来ないだろうとは思うが如何せん、リョータは「自動車工場」を「自分の目」で「見た事が無い」のだ。


 勿論、知識としては機械化された状態で人の手が多少は加わって作られてると言う事くらいは知っては居るが、実際に何から作られて行き、最終的に自動車になるか?までは知らない。


 見た事が有ると言ってもテレビで何処ぞの自動車工場の稼働率が何たら、カンたら…と言うニュースで、最後にボディーが乗せられ(と言う表現が正しいかは不明)車が出来上がる…と言う光景だけ。


 最初から最後までを「見学」した事が無いのだ。


「リョータ・・・?大丈夫か?」


「・・・ごめんなさい・・・。

 僕も施設としては知ってたんだけど、ここまで本格的(異世界バージョン)なのは知らないんだ。

 だから一度みまわってみるよ」


「あ・・・ああ、その方が無難だろうな。

 リョータの知り得ないモノすら有るカモしれないの・・・だろう?」


「・・・(思いっきり有るの)だと思う」


 見たままで言えば「恐らく」自動車工場の初期…だろう事は判る。

 判るのだ・・・が自動車工場の初期状態を「実際に見た」訳では無く、自動車工場がマツとか日とかトヨとかに「有る」事「しか」「判らない」のだ。


 今でこそ社会科見学で「どこぞの何」を見る事は当たり前に有るのだが、リョータが通ったのは田舎の小さな小中学校で高校に入れば専門知識を得る為ではなく、将来的に損をしない為だけに学校を選び、大学も自分の学力に見合った場所を選択して「自動車が作られて行く仕組み」を「見学する」事など皆無だったのだ。


 それが今、神々の「やらかし」によって実現させられては「・・・これ、どう説明すんの」が正しい見解。


 だからこそ現状を把握すべく入口の作業工程を見て目を見開いてしまった。


(なっ…な…なんじゃこりゃ!?多分…としか言えないけど、ここはエンジンと車軸を作る工程…だよね?てか、既に自動で作られてるって、どゆ事?!俺のイメージでは最後にタイヤが手動ではめ込まれる工程が有ったのに…これって馬車を作る工程だからこそ車輪が最初から用意されて居てエンジン部分と成り得る場所に「異世界こっち」で入手可能な鉱物?ってか金属?そんなのを作って用意したんだろうけども!けどもは無い!どう見てもステンレスっぽいんだよな…エンジン枠って何で出来てるんだっけ?)


 最初の工程で既にパニックに陥ってしまって青ざめるリョータに言葉すら掛けられないで居るアイザックも戸惑ってしまう。


「リョータ殿…は、大丈夫…なのか?」


レイに大丈夫なように見えるのかを問うても


「これを見て大丈夫とは言い切れませんね」


 としか返しようが無いのだ。


 リョータたちの視線の先…そこには魔力を流せば動いてしまいそうなシステム(構造物)が存在し、第一工程で有ろう場所にはシリンダーヘッド(バルブ、バルブスプリング、カムシャフト、スパークプラグ)シリンダーブロック(ピストン、ピストンリング、コンロッド)、腰下(クランクシャフト)、オイルパン(エンジンオイル)

モーターが回る仕組みは魔力を石に流すように作られてるようなのだ


*************************************

シリンダーからオイルパンなどの説明は、

読者の方から教えて頂いたものを使用しております。

作者はリョータと同じく工場見学をした訳でもなく、専門家でも無いので

言葉足らずな所はご了承いただければ幸いです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る