第337話:閑話~残された職人たち
物体が放置状態のまま、空間から立ち去ってしまったリョータの背を見てローガンが危惧を口にする。
「これ…このままで大丈夫なのだろうか…」
遮音が施されたままの空間…扉を開けたままで、エンジンは切っているものの、動かした先で停止したまま残された車。
不安要素しか残ってない場所に、集まったまま動けない状態と化してしまった職人たち。
リョータはリョータで「外に出た瞬間、魔法は解除される」と「思い浮かべ」新たなスキル「自動解除」を取得している事に後々、気づくのは数日先。
取り合えずは現状維持を決め込み、住み込み先と定められた空間へ戻る事にした。
「とんでもない事を一気に吸収した気がするのだが…」
最初に言葉として発したのはローガン…噂から本格的に面接を受け、更には「お抱え職人」となる道を選び、今に至っているのが夢のようだと思っている。
「誓約を書かなければならない、と聞かされた時は、
ここまで凄い事に関わるとは思ってなかったしな…」
ジェイコブは激動とも言える1日を振り返って溜息を吐き出した。
「まさか…本物を見る事が出来るとは思っても無かったけどね」
ルークも夢では無いか…と未だに疑っているのだが、実際に実物が存在しているので夢では無い…と理解は出来るものの、信じられずにいる。
「どうする…?と言うか…あれ…を解体するのも…
怖い気がする」
ウィリアムは解体するのが怖くなっていた。
「だが…新しい事を始めるのに怖がらない…って事は無いだろう。
このクルマだっただろうか、実現すれば、
体力的に王都へは行けなかった人物が行けるようになるし、
年齢的に移動が難しい者は楽になるんじゃ…」
ノアは開発を出来れば、あらゆる人物の移動が楽になるだけでなく、更なる先…自動車「以外の移動手段」すら提案して貰えるのではないか?と言う気持ちを抱いた。
「みなさん、ここで話し合うのは良いですが、
休む事も人としての義務ですよ?
今が肝心だと言う気持ちを持っているのでしたら、
自重する事も念頭に置いて下さい」
アイザックが中々、作業場から屋敷に戻らない職人に注意喚起した。
勿論、判っているだろう職人たちは、申し訳なさげに顔を向け
「「「「「「すまなかった」」」」」」
と全員が屋敷への通路へと出て行く。
出入口はクロフォード商会に通じる場所にドアを設置してる為、他の職人が入り込む事は出来ない仕組みにした。
面接まで行き、誓約書を書かなければならない…と聞かされ、断念したものの、何かしらの恩恵「だけ」は欲しい職人は少なからずいると踏んでの設置。
案の定、盗み見ようと画策し、入り込んでいた「偽物職人」が2名…いたのだがリョータによって断罪され、職人ですらなくなった状態へと変貌しているのを間近に見て「盗み見るのは止めよう」と言う、考えを持つしかない状態になっていた(らしい)。
クロフォード商会の誓約した職人たちは、生粋の職人であったのだと、痛感したレイとアイザックである
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