第165話:ストーカーの末路(3)
「ジャック、お前は何をしたんだ?!」
怒り心頭な表情で自身の息子を問いただすブラウン侯爵。
浮いた状態から降ろされてはいるが、未だに拘束は解かれてない状態。
それ故に「何かしでかしたが為に拘束されてる」と言う事は、容易に理解できる。
「ち、父上!
この平民を断罪して下さい!!
私のように高貴な身分に対して、
不敬罪に当たるでしょう?!」
いやさ?
その高貴な身分な阿呆が「授業が行われてる時間に此処にいる事」は、有り得ないって何で気づけんのさ。
そりゃ~普通なら平民が侯爵様に噛みつく等、有り得ないんだけどさ。
その前に学生の本分、放棄してるって判ってるのかねぇ…(怒りに気付いてなさげ~)。
「・・・お前は…
何をしてるのだ、と問うた筈だ。
今の時間帯ならば学生が此処にいる筈、
ないのだが?
例外な事柄が起き、
リョータと言う平民が自宅に戻ったとは聞いてるが、
お前がいる理由が判らんのだが?」
「・・・え・・・」
そう言えば自分は授業と授業の合間に彼を追いかけて来たんだった…と今更ながら思い出したようで、さ~…と血の気が引いて行く。
あれま、今頃「自覚」したんかね?遅すぎ~。
「君がリョータ君だね?」
「う…はい。
僕、学校から自宅で勉強してなさいって言われました」
やっべ、危うく「うん!」って言いそうになった。
流石に「普通で良い」って言われてないんだから丁寧な話し方しねーとな。
「そうか。
私の息子が拘束されてる理由を教え・・・
「父上!そのような
理由を聞く必要はありません!」
黙れ!」
「ひっ!」
うおっ?!一瞬で殺気を息子に当てた?
顔面蒼白が青白く変わったもんな。
「この期に及んで自分の犯した事柄を有耶無耶にするつもりか?」
「そ、そ、そんなつもりは…」
「あったんだな?」
「うっ…」
「すまなかったね。
この愚息は根本から叩き直さねばならないようだ。
反省するまで廃嫡し辺境の地で、
性根を叩き直す為の学園へ転校させるしかなさそうだ」
「そんな!あんまりです父上!!
あの場所での更生が、
どれほど大変な事か知っておられるでしょう?!
それを私に科すと言うのですか!?」
「当然だろう?
お前は魔法学校の授業を放棄して、
彼を追いかけただけならまだしも、
危険な森に何も持たずに入ったそうでは無いか」
「それは・・・」
「それだけでは無いだろう?」
「・・・危険な魔物に囲まれたのに、
1匹だけに魔法を放とうとして、
長々と詠唱してたよ?」
「しょ、正直に伝える馬鹿が何処にいるんだよ!」
あれ?自白してるって気付いてなさげだけど、大丈夫かね?
「・・・本当の事のようだな。
何と馬鹿な事をしでかしたのだろうな。
教師から臨機応変に魔法を放つ事を教えられてるだろうに…」
盛大な溜息を吐き出した侯爵様は、俺に対し拘束を解いて欲しいと望み、解除したと同時に強化魔法が掛けられた拳を頭に落とされ悶絶し、そのまま引きずられるように馬車へと連れて行かれ、ようやく俺は自宅を作った森へと戻る事が出来そうだ
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