第424話:閑話~持ち込まれたオイルの結果は…

 突如として現れたダンジョンから「油のようなオイル」が見つかり、1つは道具が動きやすくなるような油…潤滑油。


 その意味すら分からず「潤滑油~動きを良くする事が出来る油」と位置付け、他の種類は壺に保管して鑑定を待つ事となった。


「しかしダンジョンの浅い下層でも出るオイルとはな・・・」

「何かしら意味が有ると取った方が良いのかすら判りませんね」


 数少ない鑑定を持って居る職員が壺に入った液体を1個づつ、確認しては何に使うかをメモって貼り付けると言う作業を繰り返している。


 実を言うと「色が違う」や「匂いが違う」と言うだけで分類して居るが、本体は1つの種類と言えそうな気配が有るのが不思議に思って居るくらいだった。


「さて、これで3つ目か?」


 メモが貼られた壺は2つ…なので3つ目となるのだが


「3つ目だけど…鑑定結果、万能油って出るんだよな」


 1=潤滑油、2=万能オイル、3=万能油…その書かれた内容を見て「オイルと油の違いとは?」と思って居るのだ。


 詳細な鑑定が出来ない中、持ち込まれたオイル類が「同じ物」だったら…との考えが巡り、頭が痛くなった。


「詳細な鑑定が出来る人物が見たら判るんだろうか?」

「どうだろうな…万能オイルは何かに使えて、

 万能油は料理に使う…とかなら判りやすいんだろうけど、

 現状じゃあ…どっちが何に使えるのか判らないしなぁ」


 リョータならば万能オイルは車関係に使えるオイルで、万能油は料理関係に使える…と詳細に判るのだろうが、彼が鑑定を持って居る事は秘匿中の秘匿。


「さて…どうしたら…」

「そう言えば、

 クロフォード商会に何かしらを依頼して居る子供が、

 何か探して無かったか?」


「探してましたっけ?何かを作る為に職人を集めて居る…

 と言うのは噂で聞いてますけど…」

「見て貰うのは有りだろうか?」


「鑑定スキル持って無ければ判らないでしょ?!」

「それもそうか」


 堂々巡りで解決策が出ないスキル持ち。


 2階の執務室からギルマスが降りて来て


「何を言い合ってるのだ?」


 と一向に鑑定が進んで無さげな様に、怪訝な表情を浮かべた。


「実を言いますと、持ち込まれたオイルが同じ鑑定結果を示すので、

 分類に困りまして…」


「・・・どう言う意味だ?」


「1つは潤滑油と判り易い鑑定結果が出たのですが、

 万能オイルと万能油の詳細が出ないのです」


「…詳細が…出ない?」


「はい…万能オイルは何に利用が可能だとか言う、

 細やかな内容が全て読めない文字で表示されるのです」


 日本の神々が「日本語」で、説明書のような事を明記してしまったらしいのだ。


 ここにリョータが居れば「そりゃ読めねぇよな」と突っ込めるのだが、リョータはクラス分け討伐に駆り出されて居る。


 説明書が付いて居たので見て欲しい…と言われても「読めないのは当たり前です」と言えず、説明すら出来ない状態で固まって居たのは間違いないだろう

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