第430話:閑話~メイスンの暴走?!

 フェルナンデス家の料理人…メイスンは、リョータから「白米」の炊き方を教えて貰ってから、自分なりにメインとして使えないか?と暇を見つけては、試行錯誤を繰り返して居たらしい。


(そのまま食っても美味かったんだから、

 何かしら加工したら「もっと」美味くならねぇか?)


  1日1食を白米にする程「大ブーム」が起き、キロ買いして1週間…持たない事も多々あった。


 屋敷で働く全員が白米の虜となり、塩むすび「だけ」では飽きが来てしまうからこそ、1日1食に限定して居たが、催促が起き頭を抱えて居るのだ。


(ぼっちゃ…ルーカス様に手紙で聞いて貰うのも考えた方が良いか…)


 まずは旦那様の許可を貰わないと…とフェルナンデス家当主モーリス・フェルナンデスに意見を聞きに向かおうとするのだが、本来なら、いち料理人が当主に意見を聞きに行くなど有り得ないのだが、綺麗さっぱり抜け落ちて居る(らしい)。



* * * *


「旦那様…」


 いきなりの声かけにピクリと反応したモーリスは


「誰だ」


 と威圧たっぷりな声音で返事をし、執事(家令)に伺いを立ててから訪問しなければならなかった…と、今更ながら思い出したメイスン。


「もっ…申し訳ございませんっ旦那様っ。

 お・・・私は料理人のメイスンで御座います。

 相談したいと先走ってしまい、

 許諾を頂く前に来てしまいましたっ」


 扉を開けては居ないものの、その場に土下座し、頭を床にこすりつけた。


 悪気が有ってヤラかしたのなら処罰ものだと、溜息を吐き出し


「入ってきなさい。

 今回は何かしらを決めたいと思ったからマナーを忘れて居た…

 と言う事で有ろう?」


 執務室の入口から中に入る事をせず、

そのままの体制で「お願い」をし始めたメイスン。


「・・・はい・・・申し訳ございません・・・」


「ならば今回だけは多めに見よう。

 で?何を相談したかったのだ?」


「…リョータ殿に白米の調理方法を伝授して頂きたいな…

 と思いまして…」


 そう言えばルーカス息子が平民の同級生を連れて来て白米とやらの作り方を教えて居たな…と思い出し


「基本的な作り方を教えては貰ったが、

 それ以上の事を知りたい…

 と言う事で合っておるか?」


「・・・はい・・・」


「そう言う事ならルーカスに連絡を入れておこう。

 内容としては…リョータ殿にレシピを提供して欲しい…

 で良いな?」


「…重ね重ね申し訳ございませんが、

 宜しくお願い致します」


  反省しきりのメイスン…希望通りにレシピを教えて貰えそうだと内心、ホっとしたのは言うまでもない。


「元は家畜の餌だったか…」


 ぽつり…とモーリスが呟くとメイスンが「はい」と答える。


「あれ程、甘く美味い食べ物だったと知ったら、

 他の食べ方も知りたくなるのも判る…が」


「本当に…申し訳ないっ…」


「バツとして…美味い物を教えて貰いなさい」


「は・・・?はっ…はいっ」


 まさかの美味い物ねだりとは思ってなかったメイスンは、一瞬だけ素に戻ったが直ぐに返事を返し、どんなレシピを教えて貰えるか楽しみにするのだった

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