第93話:森の自宅でのんびりと…

 商業ギルドを後にしたリョータは、リッツェからティングに向かう事にした。


 冒険者ギルドはギルマス以外は対応が良かったのに残念だな、と思いながらアヴェルに通じる門へと向かって行く。


「お?リョータ、

 リッツェで生活基盤を作るつもりなのか?」


 リョータが家を探している、と言うのを聞いたのだろう、そんな言葉が掛けられた。


「ううん。違う地域に作ろうかなって思ってるの」


「他の場所かぁ…まあ、気を付けて行けよ?」


 あまり突っ込まれなかった事に安堵し


「はーい!」


 と返事をしてリッツェからアヴェルに向かう街道を歩いて行き、門番が見えない場所まで行くと、森へと体を滑り込ませる。


 影に控えて貰っていた小桜を呼び出し、一緒に転移しようと声を掛ける。


「小桜ぁ~…一緒に転移してくれる?」


【それは構いませんがリッツェに家でしたか、

 借り受けるのでは無かったのですか?】


「そのつもりだったんだけどね、

 ギルマスが酷い扱いをしてきたから

 見切りをつけて借りない事にしたんだ」


 物凄く嫌そうな顔で伝えるリョータ。


 小桜は、それ以上、何も聞かない事にした。


【でしたらあるじ

 グリフォンかペガサスを使役なさいませ】


 え?!い、いるの!?グリフォンにペガサス。


【い、いますわよ?

 野生のグリフォンは近寄りがたいですが、

 移動手段で飼育されていると聞いた事がありますわ。

 ペガサスの方は出逢った事はありませんが、

 いると聞いた事だけはありますもの】


 ゆ、夢だった…グリフォンとかペガサスとか…空飛ぶ動物に乗るのが夢だった…まさか、それを異世界こっちで叶えられる事になるとは思わなかった。


【何処にいるか聞いた事がありませんので、

 自力で探すしかありませんわよ?】


 いるって言う情報を貰えただけで有り難いよ。


 さ、戻ろう。


 小桜と共に一瞬で不可視を掛けた自宅へと戻って行ったリョータ。


 従魔となったゴマ、権太、琥珀を影から呼び出し家の中へと入って行った。



 * * * *


 精神的に疲れたリョータは、そのまま1階の勉強部屋に設置されているベットにダイブした。


「はぁ~~~~~~~

 精神的に疲れた…」


 小桜たちもリョータの傍へと昇って行き、スリスリと体を寄せる。


【ギルド長に振り回されている感じが致しますわね】


<ご主人様、大丈夫ですか?

 森の恵みを探して来ますよ?>


[あるじ、主、あそぼ!]


『疲れている時は休んだ方が良く無いか?権太』


「んー…癒されるから少しだけスリスリしててぇ~」


 琥珀は森の恵みを採取しに自宅の窓から出て行った。


 残った権太、ゴマ、小桜は撫でてくれるリョータの手に癒されて行く。


 …好き好んで振り回されている訳じゃないのに…ね。


 やっぱ巻き込まれ体質が原因かぁ…。


【…かも知れませんわね…】


 こればかりは、どうしようもないのだが、回避できるのなら回避したいと望み、神様が更なる恩情を掛け、巻き込まれ体質が回避できるように変化している事に暫くは気づかないのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る