第242話:団長の弁当と試食用の握り飯

 帰宅したリョータは百均の「おにぎり」作成のアイテムを使い、1個あたりの量を測ってみる事にした。


 まあ、ぶっちゃけ茶碗1杯分が握り飯1個分だとは思う…思うが念のため。


 実験の結果、やはり予測した通りの量を使うと判明し、アイテムを使えば、時間を掛けずに作る事が可能ではあるが、今は寮生ではなく自宅からの通学。


 自分の昼食と団長の握り飯、万が一の事を考え、ルーカス様へ試食用の握り飯も用意する事を考えれば、いつも弁当を用意する時間より30分ほど早く動こうと決めた。


「うーん…明日は流石にカレーはマズイから、

 やっぱ牛丼っしょ」


 勿論、牛丼など持って行ったら「すこぶる注目を浴びる」のは判っているが、食いたいのだから仕方ない。


 ただ「聞かれた時」が「困る事になる」のだが…。


「でもなぁ…材料は何だ、と聞かれて、

 牛は売ってるってのは見たから知ってるけど、

 タレに使ってるのは主に醤油だよな?

 それって売って…説明かもん!」


(ありますが販売名が違います)


「じゃあ”せ”で始まる奴?」


(いいえソイと言います)


 …ソイソースの略?


(ソース扱いではありませんのでソイだけで表記されております)


 もしかしなくても調味料あつかいじゃない…とか?


(はい)


「マジか・・・って事は果実みたいになってる?!」


(そうですね。

 アケビみたいな形ではなく、

 どちらかと言えば銀杏に似てるでしょう)


「森の恵みにあるかも…」


 琥珀が恵みを集めてくれてはいたが、鑑定してないものが殆ど。


 詳しく調べれば「醤油の実」や「ソースの実」がありそうだ。


「そう言えば牛丼の素って湯煎だっけ?

 レンチン(レンジでチン)だっけ…?」


 買うだけ買って記載を見て無かったリョータは確認し、どうやらレンチンで作れると把握できた。



 * * * *


 ・・・チン♪


 冷凍保存していた牛丼の素をレンチンで温め、ホカホカ御飯を少なめによそってから素を投入(勿論、零れ出ないよう魔法を付与)。


 ゴクリと唾を飲み込んでしまったのは御愛嬌。


 11個の握り飯を10個は弁当箱に入れ、残り1個を蝋紙ろうがみに包みアイテムボックス内へ収納。


 自分の弁当、団長さんの弁当、試食を求められた時の握り飯を携え、リョータは自宅を後にしようとしたのだが、不可視の魔法の外に人の気配があり、こむぎとココが狙われてる事に気付いた。


(小桜、出てくれるか?)


 呼び出した小桜は、念話で呼び出された事で緊急事態が起きた事に気付き


【(どうなさったのですあるじ)】


 と念話で会話を開始した。


(実はココたちが冒険者に狙われてるらしい。

 俺が出て行けば「何処にいた」と問い詰められるだろうし、

 子供だからと舐められる可能性がある)


【(…判りましたわ。わたくしが出ましょう)】


 森の奥地に生息すると言われている「フェンリル」が現れたとしても不思議は無い訳で、ココたちを狙った冒険者は「しめた」と思っていたのに「窮地に追い込まれる事になる」などと思ってない為、奇襲は有効となるのは明白である

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