第354話:次なる懸念に着手?!

 次に問題となったのは勿論…


「この動力源…と言う表現で良いのか判らぬが、

 材料と言うか素材と言うのかは…

 エーテルディアでは見た事が無いのだが…」


 エンジン部分を指したのは勿論、魔道具担当のジェイコブ。


 アルミとか鉄などの「物質」自体は無いと思っての発言だと判る。が、鉱物を知りえている人物に「アルミって鉱物あるかな?」と聞けば「ある」と教えて貰える可能性も考えられた。


「あぁ塊として存在しない可能性があるけどな、

 鉱物として1つ1つが小さい状態で、

 存在する可能性は捨てきれないだろう?」


「「「ああ、そう言う事か」」」


 道具職人3名が同時に納得する答えを引き出せたようだ。


「まあ有無は鉱夫の方々が知っていれば早いだろうし、

 無ければ考えるさ」


 スマホで「アルミの原材料」を調べ「アルミニュウムの作成方法」とググれば出る可能性もあると思っている。が、無ければスマホで「アルミ」を購入して加工した状態で、提供するのもアリだと腹黒く思っているのは内緒(と言っても八百万の神にはバレバレだ)。


「動力部分は最後に設置…と言う方向性で良いのだろうか?」


「あぁ、確か最後に設置してたと思うが、

 あくまでも俺の世界での話だ。

 何もかも異世界通りにしなくて良いと思う。

 それにオリジナル性を持たせれば、

 同じ技術を持ったとしても、

 全く同じ物が作れる…とは限らないだろう?」



 見た目は同じだとしても、中に使われてる布やら素材を変えれば違う品だと言える。


 そうなれば今は1か所しか作る場所が無いとしても、将来的に増えれば、各々の「良い所を引き出した違うクルマ」が生まれる…と言うのが想像できたらしい。


「そうか…今はクロフォード商会が、

 秘密裏に事を起こしていても、

 いずれ気づかれ盗まれ…ではないな。

 作り方が知られるようになり、

 近いが違う品が生まれ、

 色々と選択できるようになる…

 と言う事だな?」


 流石、職人だな。


「あたりだ。

 俺の世界には多くの会社と呼ばれる、

 クルマを生み出せる場所が存在する。

 勿論、他国にも高級な車を扱う所すら存在してるんだ。

 今は1つだとしても何年…何十年先かには、

 数多く作れる場所が生まれる可能性があるんだ。

 その最初が此処ここ…クロフォード商会だと言うだけだ」


 最初の一歩を担う事になったのだと…改めて感じた職人たちは、見本以上に素晴らしい形にしたい、と思ったのか、それぞれが行動を開始した。


 苦笑しながら、遅れてやってきたレイに顔を向ける。


「…何処から聞いていたかまでは知りたいと思わないが、

 これならクロフォード商会で作ったクルマだと、

 判る形を刻む事も視野に入れた方が良いと思うぞ?」


「我が商会が作った証拠…ですか…」


「まあ、王家などは家紋と言うのだろうか、

 そう言う形が馬車の横に刻まれてる事が多いだろう?

 その大きな形ではなく、小さく…そうだな…

 これ(10cm)くらいの大きさで、

 マークと言うのを考案して欲しい」


 日本で言う所の「エンブレム(一目で判る品)」を考えたらどうか?と提案し、その日はクロフォード家を後にし、鉱山へと向かう事にしたのだった

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