第43話:スライムで実験開始?!
Sランクの冒険者ブラッドさんに、スライムで練習してみろと言われた俺は、ギルド掲示板に貼り出された依頼と睨めっこしていた。
勿論、ランクごとに依頼が貼られているので見やすくはなっているけど、流石にスライムは依頼として出されていなさそうだ。
やっぱり、無いかぁ…だったら薬草採取を受けてスライムを見つけたら魔法の練習するって形にした方が無難か?
10歳の背丈で見える範囲には、スライム討伐と言う文字は出ていない。
大人の背丈(170以上)ならば見つけられる可能性は残されている。
「お?!リョータか依頼を受けに来たのか?」
ギルマスの締め付けから助け出してくれた冒険者が、声を掛けてくれた。
「うん、でも討伐で僕が受けられそうなのって、
スライムでしょ?
出て無いみたいだから採取依頼を受けるつもりだよ」
ポーション作成に需要がある薬草採取は山ほど依頼が貼られている。
が、Eランクの空間に討伐らしき依頼(見える範囲に)は皆無。
手を伸ばし回復ポーションに使えると鑑定に表示された採取の紙を取ろうとした。
「ちょっと取るのを待て、
この上の方にスライムが貼ってあるから取ってやろう」
「え?!それって本人が取らなくても大丈夫なの?」
張り出された依頼書って本人が「これだ」と思って剥がし受付に持って行く事で成立するんじゃ…。
「あぁ、本人が取るのが基本だが、
子供の冒険者を見つけ、
希望する依頼が上部にあった場合は、
取って渡す事は除外なんだ」
す…すげぇ…。
確かに子供が討伐するのに強い魔物を取らないよう、上部に依頼を貼ってる、と思えば、そのシステムって有用だな。
「そうなんだ」
「ほら…持って行け」「ありがとー!」
スライム討伐の依頼が書かれた紙を渡してくれ、受け取った俺は受付に向かう前にペコっと頭を下げた。
勿論、感謝の意を伝える為。
しまった…名前を聞き忘れた。
いつも助けてくれるのに名前を知らないままなんて、失礼きわまりないよな。
今度、出逢ったら名前を聞いて昼飯でも
「おねがいします!」
受付に背伸びして依頼書を差し出すと、ケイトさんが
「あら、リョータ君は討伐に出るのね」
と、にこやかに対応してくれた。
「うん学校に行く前に魔法を少しでも練習しておきたいんだ」
「あらぁ…将来有望ねぇ。
気を付けてね」
「は~い」
依頼受付の印を押された紙片をズボンに仕舞うフリをしてボックス内へ収納。
脳内に覚え込んだ地図を思い浮かべ「スライム
毒消し草を採取した場所の奥に赤く囲まれた地域が表示された。
そこいら一帯がスライム群棲地だと書かれているから有難い。
「普通にスライムだよな。
まさかドラゴンクエストに出て来るまんまの姿…とか?」
【想像した映像を確認、
照らし合わせた結果、同一生命体です】
やっぱり?でも目は付いてないでしょ?
【生き物ですので目と口はあります】
・・・アノ形って事か。
ま、魔法の練習相手…と言う名の実験体になって貰いますか!
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