第468話 没落邸へ・・・

 早速…とばかりに、壊そうとして居る屋敷を見に行くつもりでギルドを後にしたリョータ。


「レイさんに相談てか報告しないまま見に行っても大丈夫…だよな?」


 周囲に人が居ないからこそ、大人な口調になっては居るが、早めに戻した方が良さそうだな…などと屋敷への道すがら考えながら、キョロキョロしていた。


「君、迷子かい?」


 いきなり声を掛けられ、慌てて目線を上げれば「いかにも胡散臭い」風貌な男性がニヤけた顔でリョータを見て居た。


「ううん。違うよ?探しては居るけど、場所は没落した屋敷だもん」

「ぼ…ぼつらく…ルッ…ルミナス邸…じゃ無いだろうな!?」


「(そう言えば邸宅の元持ち主の名前、聞いて無かったけど、ここは乗らせて貰おうかな)どうだったかな?多分、そこだと思うよ?

 アイザック・クロフォード様から屋敷を買い取ったから、今の状態を見て来て欲しいって言われたから確認に行く所だもん」

「クッ…クロフォード商会の(小間使い<リョータには聞こえて無い>)」


「ねえ、もう行ってい?」

「あ・・・ああっ…すまなかったね

 (あのクロフォード商会が屋敷を買った?!貴族は没落屋敷は買わないと思ってたのに…)」


 盛大に勘違いしてるが、アイザックは貴族では有るが商人でも有るので、没落した屋敷を買い付けても何ら不思議ではないが、声を掛けた「人さらい」はクロフォード商会の小間使いを「危うくさらって売る」所だったのだと肝を冷やしながら、そこから去って行った。


(あれって多分…だけど誘拐犯…だよな?

 俺が子供だから迷子なら「そこなら案内するよ」とか何とか云って、

 連れて行く過程で、何かしらをして、何処かへ連れ去って売る…

 だったんだろうけど、そうは問屋が卸さんぞ…っと)


 そんな事が有ったからこそ、今度は警戒心MAXな状態で没落邸へと向かい始めた。


* * * *


「・・・うわぁ・・・想像以上に外観が怖いなぁ…」


 屋敷を見ての第一声が「それ」だった。

 2階建ての屋敷に続く庭は、誰も手入れしなくなって久しいからか、雑草と花が入り混じっており、玄関までのアプローチは見えなくなっていた。


「これ…まずは雑草類をどうにかしなきゃ…だなあ…」


 敷地面積的には合格では有るが、魔法で壊そうとすれば、周囲に「多大な迷惑」が被りそうな場所でも有った。

勿論、近場に屋敷などの建物は無いが、魔法をドカン!と放ってしまえば「何だ何だ」と怖がられてしまいそうだな…と思った。


「建物…なぁ…蔦が絡まってるから材質すら判らなくなってるけど…(周囲を見渡し)木製っぽい…な」


 ぽい…では駄目だな…と思って屋敷の玄関先までの雑草を魔法でザクザク切り進んで行くつもりでは居たが、流石に相談しないとな…と一旦、クロフォード商会に戻る事としたリョータだった

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