第30話:おまけ付きの昼食

 防具は「なんちゃって」でも十分だとは思うが、持って無いでは「強い」と思われないだろうことから「無茶するなら国外へは出さない」等と言って来る人もいるかも知れない。


 だから武器屋で防具の事を聞いて見る事にした。


[あのね、体を守る道具って近くにある?]


 これなら「防具」って言葉を知らないって思われる・・・かな?


「そうね防具なら防具専門店があるから行ってみるかい?」


[うん!]


「ここから右に曲がって、

 2軒先に防具専門店があるから見せて貰いなさい。

 ギルマスの失態を言えば安くしてくれるわ」


 ・・・「やらかし」まくってるな、あのギルマス。


[わかった~行って来ま~す!]


 再びベルを鳴らして外に出て右に目線を上に向けると、2軒先に甲冑のイラストが描かれているのに気付く。


 迷う事なく行けるじゃん・・・が正直な気持ちだった。


 声が出せるようになるまでは使う紙片はそのままにして、初日に全部、揃えるのも・・・と買い食いを先に済ませる事にした。


 腹減ったなぁ・・・見る限り、日本の祭りに見かける露天に近い売り場が、チラホラ見えているな。


 見たままの感想で言うならば、肉の串焼きにクレープ、トウモロコシをバターで焼いているのか香ばしい香りも漂っている。


 サンドイッチに近いパン系も売っているようなので俺は、サンドイッチが売られている屋台に足を向け、俺の背丈では届かないので横から売り子女性のスカートをチョイと引き


[声が出せないので筆談で伝えていい?]


 とバージョン文章内容を変えた紙片を出した。


「もう・・・ったら、

 やらかしたのね」


 あれ?ギルマスとか言って無いのに「声が出ない」って聞いただけで判断し…あ。


 ギルマスの家族なら「失態」を「やらかしまくってる」って知ってるって事か?!


[あの・・・この食べ物の名前、

 憶えてないんだけど買える?]


「ええ、サンドウィッチ1個で足りるかしら?」


[1個いくらですか?]


 無料ただで良いって言って来そうな気がするが・・・。


「銅貨1枚で良いわよ」「へっ?!」


「あらぁ・・・単純な言葉なら戻っていそうね。

 あの馬鹿オヤジが声が出せない状態にしたんでしょ?」


 この問いには頷いて答えた。


「だったら個数関係なく銅貨1枚で良いわ」


[いやいや、いくらなんでも、

 それは出来ません!]


 だって材料費を考えたら個数関係なく銅貨1枚(100円)は駄目でしょ?!


「食材に掛かっている費用ってパンだけなのよ?

 だから遠慮しないで欲しい量を言いなさい」


 ・・・中身の具材は自家製ですか。


[じゃあ・・・(取り敢えず)5個!]


「銅貨1枚で6個、持って行きなさい」


[・・・いいの?]「ええ」


 先ほど両替して貰い、銅貨はズボンのポケットに10枚、忍ばせていた。


 その中から1枚を出し、お姉さんに渡す。


 俺の実年齢からしたら「お姉さん」ではなく「年下の後輩」と言える年齢だと思う。


 ただ、今の俺は10歳の子供…お姉さんと呼ぶのは許される年齢なんだろうけど、めちゃくちゃ違和感がある。


[はい!]「ほんと、馬鹿オヤジで御免なさいね~」


[ううん、

 むしろ美味しい昼ご飯になりそう、

 有難と!]


 何だろう・・・サンドイッチは茶色い紙に包んで持たせてくれたけど、説明ぷりーず。


 【市販の包み紙】

・食材を傷まずに持ち運び出来る紙

・1枚単位では売っていない

・色々と便利に使える


 至って普通だった。


 でも便利に使えるなら雑貨かな?見つけて入手しておきたい。


 いずれサンドイッチを作る可能性もあるだろうし、米飯…扱ってるとすれば、家畜の餌になってる可能性はあるが、存在したら握り飯を作りたい。


 それを包むのに使えたらいいな!

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