第186話:地下迷宮アタック(3)

 地下を進めば進むほど強い魔物が出て来るのは当たり前で、リョータに取って苦戦を強いられる魔物は未だ、現れてないのだが


「小桜、ゴマ、魔物の気配って感じられる?」


 と「魔物の気配ではあるものの、正体不明な物体」に「見られているような感じ」がしているのだ。


【…魔物…ですわね】『魔物っぽいけど…変なの…』


「だよなぁ。

 何処からか視線を感じるから、

 隠れる能力を持ってる魔物だったりしない?」


 リョータは魔物を知る為に本を読み漁ってはいるのだが、魔物の実態を書き記した書物は「存在していなかった」ので、自分が狩った魔物の特徴などを記録として書き残している。


 その中に勿論ジャーチも入ってはいるのだが、今回の魔物が何であるかまでは周囲に危険察知を掛けても引っ掛かりが無い状態で焦っているのだ。


 何処だ…?何処からの視せ・・・


あるじっ!上っっ】


 小桜が発言した瞬間、上空から何かが吐き出されたが、ギリギリ回避する事に成功し、先ほどまでリョータが立っていた場所は、酸で床が泡立っていた。


「・・・塩酸だと?!

 小桜、権太、琥珀、ゴマ気を付けろ!

 見えない魔物は塩酸…

 体を溶かすに等しい酸を吐き出す奴だ!」


 未だ見えぬ敵に警戒心を露わにするが、ゴマと小桜が魔物の位置を把握する。


【姿を隠してる魔物の正体はカメレーオン】


『葉っぱに体を隠してるみたい』


 琥珀、そいつに何かしら目印つけられる?


《お任せ下さい》


 的確に敵の位置を把握しているのだろうか。


 琥珀は一度、足元に降り何かしらした後、ヒョイヒョイと木々の間を抜け、持って行った何かを振りかけた。


「ギィヤ~~~~~~~~」


 掛けられ位置を把握され怒りを露わにしたカメレーオン。


 どうみても日本のカメレオンでは無いし、見た目が物凄くグロい。


「うわーキモい」《うわー気持ち悪い》

『グロテスク』【気持ち悪いですわね】

[キモ~い]


 琥珀、何かけたの?


《砂です。

 カメレーオンの弱みは姿を発見される事だと聞いた事があったので、

 周囲にあるモノで姿を見えるように出来ないかと…》


 納得したわ。


 琥珀が地面に一度、降りたのは砂を取る為だったんだね。


《はい。

 掛けられている間だけ見えますので今のうちに…》


 言うや否や権太とゴマそして小桜が一斉にジャンプで敵の所まで行き、引きずり降ろしボッコボコに蹂躙して行くのだが


        ドスン、ドスン、ドスン・・・


 地面が揺れ何かが迫って来てる事を伝えゾクリと寒気がした。


「小桜、琥珀、ゴマ、権太!

 そいつを離すんだ!!」


 咥えていた魔物を離した瞬間、大型の魔物から液体が発射され、危うく権太たちが巻き込まれる所だった。


【何ですの?!】『もしかして…』[親・・・?]《みたいです》


 そこに佇んでいたのは紛れも無くカメレーオンの親。


 即座に鑑定したリョータは顔を青ざめさせる事となるのだ

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