348.【後日談2】猫さん、首都へ行く その2
翌日。
俺は四次元ワープを1回使い、中央都市チザンの門へとたどり着いた。
昔は【四次元空間】を、時間経過の無いただの収納スキルだと勘違いしていた。
でもMPさえ使えば時間移動、座標移動、その他色んな応用の利くスキルであることが分かっている。
門では、門番が入都者の荷物や身分を確認していた。
まだ30組ほど並んでいる。
俺は、一番後ろに並んだ。
「グゴォオオ!(ん? 野良猫か?
丁度良い、小腹が空いていたところグホァァアア?!)」
前に並んでいた鬼のような魔獣が俺に掴みかかろうとして、四次元空間内のホムンクルスによって腕をむしり取られた。
痛みのあまり、転げ回っている。
門番はチラリとこちらを見たが、すぐに自分達の仕事に戻った。
門より外は治外法権。
何をしても罰せられることはない。
その代わり何をされても文句は言えないのだが。
なので、ここで泣こうが喚こうが、門番は相手にしないのだ。
中央都市チザンを脅かす危険があればその限りではないが。
「にゃー(【ヒール】)」
魔獣君の腕を再生してやった。
魔獣君は腕が治ったのに気づき、そして俺を見て、
「グガァァアアー!(ひぃっ?! 化け物ー!)」
一目散に逃げてしまった。
失礼な魔獣だな。
まあいい。
並んでる魔獣が減ったからラッキーとしておこう。
俺はミスリルで作った箱を取り出し、その中に入る。
列が前に進むと、箱からホイールが出てきて回転し、箱が前へと進み、ホイールが収納される。
しばらく待っていたら、門番が上司の魔獣に殴られた。
そして、上司の魔獣がこちらへ走ってきた。
「バルル!(肉球魔王様ではありませんか!
なぜ一般の列に並んでおられるのです!)」
「にゃー(来ることを事前通達してなかったからな)」
「バルラ!(待つ必要などございませんよ!
あなた様相手に身分確認や荷物検査など無駄なことはしませんから!
ささっ、こちらへどうぞ!)」
俺に対して上司がへりくだっているのを見て、門番は不思議そうにしていた。
「バルゥ!(さあ道を開けろ!
我が魔獣国チザンで最も偉大な御方、肉球魔王様のお通りだ!)」
ネコ科魔獣以外にも、俺を奉ろうとする連中は少数ながら居る。
彼もその1体なのだろう。
上司の魔獣の後ろを、俺はミスリルカートで付いていく。
「ボボ?(アレが肉球魔王様?
噂とは違うなぁ)」
「チチチ(山より大きくて、鼻が長いって聞いてたんだけど)」
それは俺じゃなくて、ベヒーモスゴーレムだ。
「リリン(いや、体から触手が出てきて、目を1000個持つ魔獣って話じゃ?)」
どんな怪物だよ、俺は。
「クシャロ(国王ゴルンより強いって噂だけど、そうは見えないな)」
俺は国王の魔獣と直接対決したことは無いはずなのだが。
まあ噂だから、気にするだけ無駄か。
俺は、門をくぐった。
人通り、いや魔獣通りが多いので、ミスリルカートから降りた。
門番の上司は、国王に俺の来訪を報告しに行った。
数時間くらいしたら向かうと伝えるように頼んでおいた。
向こうさんも色々と準備が必要だろうし、時間が来るまで、その辺をプラプラするとしよう。
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