104.新魔王軍、森へ入る
・新魔王軍幹部のハイ・オーク視点
ここはフランベルの森だお。
この森を抜けたら、フランベル王が居る町にたどり着くお。
でも、今日はそっちには用は無いお。
「ブォオオオ!(皆の者ー! 逃げたエルフを捕まえるおー!)」
「ブー!(了解だおー!)」
エルフの女を孕ませると、良いオークの苗床になるんだお。
集落にたどり着く前に逃げられたけれど、ここまで追い詰めたんだお。
フランベル国とエルフは犬猿の仲。
かつての魔王がエルフを保護していたからだお。
エルフ達の背後にはフランベル国、正面にはオイラたち。
エルフは絶体絶命なんだお。
オイラたちは少数精鋭の部隊。
20頭だけだけど、どんな魔獣にだって負けない自信があるんだお。
それにオイラはハイ・オーク。
かのミノタウルスに匹敵する強さを持っているんだお。
勇者とも互角に戦えると言えば、その強さを分かってもらえるはずだお。
森を進んでいると、前方から目を光らせた猫が現れたんだお。
こいつ太いお。ちょっと夜食に食べてやるお。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
俺は森でヨツバのパワーレベリング中だ。
大型魔獣を数体倒し、ヨツバは少しレベルアップしたらしい。
『ヨツバ、体調はどうだ?
レベルアップで体が痛くなったりはしないのか?』と書く。
『大丈夫』という氷文字ブロックが降ってきた。
ふむ、レベルアップで体調が悪くなったりはしないみたいで安心した。
まず気付いたことだが、俺だけが魔獣を倒してもヨツバに経験値(?)が入らない。
ヨツバが【スキル】で傷つけた魔獣を倒せば経験値が入るみたいだ。
ちなみに経験値は鑑定すれば見ることが出来る。
――――――――――――――――――――――――
鑑定結果
ヨツバの経験値:5/30
――――――――――――――――――――――――
現在経験値が5溜まっていて、恐らく30まで溜まるとレベルが上がるんだろう。
そして、しばらく歩くと豚顔の二足歩行の魔獣が行進しているのに出くわした。
あ、こっちに気付いた。
「ブブー!(死ねだおー!)」
豚魔獣が俺に襲いかかって来た。
念のため【傾聴】スキルを使って言葉を聞いているが、どうやら相手はこちらを殺す気だから容赦しなくて良いな。
豚魔獣の攻撃を避けつつ、俺はヨツバに【ヒール】をかけて、MPを分ける。
回復スキルということは、こういう使い方も出来るんじゃないかと試してみたら出来た。
ヨツバは【フリーズ】を豚魔獣に使う。
鑑定してみたらハイ・オークなる魔獣だ。
よし、HPが減っているな。
これなら俺が倒してもヨツバにも経験値が入るはず。
ハイ・オークの首を爪で狩り取る。
「ブー?!(隊長ー?!)」
「ブッブ!(おのれー! 隊長の仇ー!)」
ヨツバが【フリーズ】を使い、俺がトドメ。
【ヒール】でMPを補充し、繰り返す。
豚魔獣の死体は【四次元空間】で回収だ。
「ブブ!(馬鹿な?! ただの猫がこれほど強いわけが……)」
「ブブブー!(聞いたことがある! 森に潜む最強の魔獣!
夜、目を金色に光らせながら無差別に殺し尽くす! その名も金眼夜叉!)」
よく分からないことを言いながら俺の爪で始末される豚魔獣。
金色夜叉なら尾崎紅葉が書いた小説だから聞いたことがあるが。
数匹ほど遠くに逃げてしまったが、17匹ほど倒したから良しとしよう。
さて、ナンシーさんが起きる前に、町にヨツバを届けに行くか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます