105.泣きっ面に蜂


・フランベル4世視点


夜。側近が使った【ライト】の明かりで、私は書き物を読んでいた。


ニコが私に渡した手紙には、とんでもないことが書いてあった。

3年前、私の兵が、フランベルジュの宿った石像を攻撃し追い払った、と。

現在は、森でケット・シー殿の世話になっているらしい。


いや、まさか。

フランベルジュは死んだはず。

どうせ偽物に違いない。


そう思っていたが、後日ニコが寄こしたこの書き物には何と、王族しか知らない秘話が綴られていた。

それだけでなく、王族に伝えられていないことまで、それこそ本人にしか分からないようなことまで書かれていた。


生きているのか?

建国に関わったとされる伝説の古竜、フランベルジュが?


もしそれが本当なら、我々はとんでもなく失礼を働いたことになる。

私の首を差し出せと言われても仕方が無いくらいの失礼を。


どうする?

私はどうすればいい?


コン! コン!

扉がノックされる。



「入れ!」



兵士が通したのは、周辺で見張りをしている者だ。



「報告します! 新魔王軍の配下らしきオーク約20頭が、フランベルの森に侵入したとのことです!」



ああ、頭が痛い……。

フランベルジュの問題で悩んでいる時に限って、新魔王軍が攻めてきたと申すのか。



「兵隊長と防衛大臣、勇者3人を呼べ! 緊急会議を開く!」



フランベルジュの問題は後回しだ。

まずは町の防衛を考えよう。


防衛大臣達が集まったところで、緊急の作戦会議が始まる。


数日後、ギルド経由でフランベルの森に送った調査隊の報告はこうだった。

オークは見つからなかった。


恐らくケット・シー殿の仕業だろう。

改めて、敵に回したくないものだと思った。


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