338.【後日談】神様通知
森の自宅でのんびりしていると、アウレネ達が帰ってきた。
アウレネが俺の家に入ってくる。
「にゃんこさーん、ただいまです~」
「にゃー(おかえり)」
アウレネにワシャワシャされる。
リリーが羨ましそうにこちらを見ている。
んん? むむ、神様通知を受け取った。
神様をやっている者に対して送られる、一斉メールのようなものだ。
10年に1度で来るか来ないかの頻度だが。
――――――――――――――――――――――――
※緊急! 創造主が討伐されました!
通知者:鑑定神ソフ
本日未明、創造主の宮殿にて、バッハを名乗る謎の機械魔獣によって創造主が討伐されました。
詳細は現在調査中です。
つきましては創造主が復活されるまでの約1000年間、誠に勝手ながら創造スキル持ちの以下の神様方の協力を仰ぎたく存じます。
炎の神ベスタ 様
建築の神オーヤマ 様
芸術の神アポルス 様
錬金術の神トミタ 様
上記の神様方へ、仕事内容の詳細については書類をお送り致しますので、そちらをご参照願います。
また、他の神様方へおかれましては不審者への警戒を怠らぬよう、改めて注意喚起申し上げます。
――――――――――――――――――――――――
おい、バッハ君。
本物に挑みに行ったのか。
というか勝ったのか。
とはいえ、創造主とやらはきっと、仕事で疲弊して弱っていた所を襲われたに違いない。
そして彼は襲われるようないわれはこれぽっちもないわけだ。
つまり全面的にバッハ君が悪い。
多分バッハ君は、超重罪人として『神殺しの指名手配者一覧』に載るだろう。
命君のダンジョンへの来客が増えそうだ。
「みゅ~(創造主? それって美味いにゃ?)」
「にゃー(食べ物じゃないぞ)」
リリーの元にも同じ通知が来たらしい。
「ん~? にゃんこさん、何だか変な文章を受け取りました~」
アウレネ達やネル達にも通知は来ているはずだ。
かつては神格化した人間や魔獣がこの文章を受け取り、神託だと勘違いしていたケースもある。
神様からの通達には違いないのだがな。
神格化のこと自体は内緒なので、俺はだんまりを決め込んだ。
ん? 今度はメールだ。
どれどれ……
◇ ◇ ◇ ◇
・ダンジョンの女神視点
我らダンジョンの女神の上司である幸運の女神様は、「あのウザイ創造主が討伐されました!
これで地上のダンジョンへ好きなだけ行けます!」と仰っていたんだな。
自らダンジョンの様子を見に行くなんて、仕事熱心なんだなぁ。
幸運の女神様は今、気合を入れて化粧をしているんだな。
まるで好きな人の所にでも行くみたいなオーラを放っているんだなぁ。
幸運の女神様が出かけている間は、ボクが幸運の女神様の神殿で留守番することになっているんだな。
で、ボクが見聞きした事は、幸運の女神様にも伝わるよう、感覚共有スキルがかけられているんだな。
ん? ダンジョンマスターの伊乃田命からメールなんだな。
どうせまたボクへの文句のメールに違いないんだな。
このメールも感覚共有で、幸運の女神様も見ることになるんだな。
まったく、伊乃田命には困ったものなんだな。
――――――――――――――――――――――――
結婚式のお知らせ 伊乃田命
2週間後のXX月XX日10:00より、私、伊乃田命とコレムの結婚式を行います。
場所は私のメインダンジョン10階層の大部屋です。
簡単な昼食と御土産を用意しておりますので……
――――――――――――――――――――――――
おっと、今回は違うんだな。
にしても結婚式とは、おめでたいんだな。
「うわぁぁぁあああああああん?!」
幸運の女神様の悲鳴が聞こえたんだな。
ゴキブリでも出たんだな?
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
命君のダンジョンで開かれた結婚式が終わり、自宅へと帰ってきた。
命君の結婚の相手は、以前命君のダンジョンに攻めてきた
和解してからはよく一緒にゲームしていたな、そういえば。
出会って結婚までやけに早いと思ったら、できちゃった婚らしい。
若いなぁ。
式ではずっと幸運の女神様が泣いていたのだが、そんなに感激したのだろうか。
ダンジョンの女神の代わりに来たと言ってたが、部下の代わりに上司が来るって普通は逆な気がするが。
まあそんなことはどうでもいい。
俺は命君から貰った御土産袋を開ける。
何が入っているかなー……キャットフードの詰め合わせかよ。
悪いけど、間に合っているぞ。
あとで魔獣幹部達に配るか。
キャットフードを全部取り出し、紙袋の中に入る。
うむ、これは良い閉塞感。
いい感じに眠気がやってきた。
おやすみなさい。
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