268.【後日談】あれからの話と、寿命の話


□前書き□


シリアス注意。

バッドエンドっぽい話ですが終わりません。



□□□□□□□□□□□


猫になった時から、俺はすぐに死ぬと思っていた。

何せ猫だから。

それに初期の年齢が20歳とか、いつ死んでもおかしくない年齢だったから。


しかし、この体になって10年、20年、50年、100年、500年……。

確か今は1063年目か。


ネルも、マック君も、ヨツバも、アウレネも、オリバー君も、リオン君も、スペンサー君も、シャムも、コーディも。

全員死んでしまった。


宿へは、ネルが死んだ後は通っていない。

ネルの子孫は、言い方は悪いが、俺を利用しようとする魂胆が丸出しで、ちっとも会って嬉しくない奴らだった。

自然と、彼らの面倒を見ることは無くなった。


マック君は錬金術の研究に尽力し、彼……違う彼女の子孫が、今でも研究を続けている。

そんな彼女は、ある日薬の材料に紛れ込んでいたスライムの転生者に体を食われて乗っ取られ、魔獣化した。その転生者は俺とアウレネとオリバー君で殺した。

その時パーシー君は第2憲兵団団長だったが、殉職。

魔獣化したマック君が死んですぐ自殺したのだとか。


ヨツバは、最強の冒険者になると言い、スペンサー君とともに遠方に出かけたきり戻らなかった。

時々送られてくる手紙も、80年目くらいに途絶えた。

ヨツバの名前は、冒険者達の昔話として今も語られている。


アウレネが死んだ後、エルフ達はだんだんと内部対立が激しくなり、過激な連中が森を焼き払い去ってしまう。

そして、エルフ達の喧嘩の中、シルフ婆さんの墓を壊されたことで俺がキレた。

かつてアウレネが使用した結界スキルを使い、エルフ全員を追い出した。

森の木はすぐに【スプラウト】で復活させた。

オリバー君ともそれから会っていない。もう500年くらい前の話だ。

【探索】で反応なし、とあるので死亡しているのだろう。


リオン君は、鍛冶職人として大成し、弟子をたくさん育て上げ、ある日急性アルコール中毒で死んだ。

ドワーフの死因としては、普通らしい。


シャムは、ヨツバから貰ったパンの本を見て、雑貨屋でパン作りをして大盛況。

実家パン屋の後継者と結婚し、結局雑貨屋を辞めてしまう。

その後はどうなったのか知らない。


コーディは、たくさんの治癒についての研究を行い、歴史的人物となる。

だが70歳過ぎから認知症によって性格が変化。

彼女を介護する弟子がキレて彼女を殺してしまった。

そいつは重犯罪者として、牢で獄死。


俺の昔の知り合いが、もう誰も居ない。

時の流れは残酷だ。寂しい。


ああ、違うな。

まだ居たな。

昔からの仲間が1体だけ。



「みゅ~(今日は良い昼寝日和だにゃ!)」



リリー。こいつは何故か今も生きている。


俺やリリーが何故生きているかについては、300年前にようやく分かったわけだが。

その秘密は、神にある。


神という役職は、創造神が与える物であり、例外的にその権限が一部の者に委ねられている。

そのうちの1人が冥王ハーディス様である。


で、神という役職が与えられた者は、何と寿命を迎えない。

誰かに殺されない限り。


そして同時に恐ろしい事が1つ。

神を殺した人物は神格化し、寿命を迎えなくなるという。


リリーが死ななかったのは、神を殺したことがあるから。

おそらく、ワルサー皇帝もあったのだろう、神を殺したことが。


神を討伐すると神格化することはトップシークレットとなっている。

ちなみに偉い神以外がこの秘密を知ってしまうと、密かに消されるらしい。

怖い怖い。ちなみに俺は【ハーディス様公式ファンクラブ会員】の称号のおかげで偉いことになっている、らしい。


この秘密は偉い神相手以外に、誰にも伝えてはいけない。

伝えた瞬間、創造主による神罰が発動するとのこと。

例えば俺が誰かに伝えると、俺と伝えたその相手が全員爆発するそうだ。

試してないから本当かどうかは不明だがな。


まあそんなわけで、俺はこの『大魔導士の森』でのんびりと過ごしている。


フランベルの森?

異世界に来て108年目くらいにフランベル国が滅びたから、その呼び方はされなくなった。

国が滅びる3年前、フランベルジュは「キュオオオオン!(この国はもうダメである!)」と大泣きしてどこか飛んでいってしまった。


そして、俺が居る森だから『大魔導士の森』と誰かが呼ぶようになり、その名が定着。

今でもそれが続いている。

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