327.【後日談】雑貨屋クローバー、制服を作る その1
雑貨屋の朝は早い。
日が昇る前に黒ぬこヤマモト宅配便のトラックが来るので、オンラインショップ用の品をリオン君が配達員に渡す。
それから、森のフランベルジュ達が作った商品が、ヨツバによって雑貨屋へ運ばれる。
商品は、リオン君とシャム、コーディによって棚に並べられる。
そのまま彼らは店番を交代で行う。
最近はゾンビキャットがコーディと一緒に店番しているみたいだ。
昼、ナンシーさんの宿に泊まっているシャムの両親の焼いたパンが雑貨屋に届く。
人間相手に、まあまあ売れる。
夕方、黒ぬこヤマモト宅配便のトラックがまた来る。
オンラインショップ用の品をリオン君が配達員に渡す。
夜。ネコ科魔獣達が活発になる時間。
肉類の商品が多く売れるので、それらを並べる。
深夜。店じまい。
ヨツバが売り上げや収支を計算し、雑貨屋の1日は終了だ。
俺はというと、たまに店にやって来て様子を見て、勝手に商品を並べて、店番を交代したりする。
今日ものんびりカウンターで体を伸ばしてくつろいでいると、ヨツバが店に入ってきた。
「見つけた! 猫さん、制服を作りましょう!」
制服? ああ、従業員用の服装か。
……要るか?
ヨツバは、【四次元空間】で布地を取り出し、カウンターに広げてみせる。
「ほら! 市場で買ってきた物です!
猫さんの通販チートでミシンを購入し」
「なー(わーい!)」
ひょい。
店内に居たネコ科魔獣が、布地の上に乗った。
「ちょっ?! 邪魔です! どいて!
ああ、爪を立てないでください?!」
「なおー(これいいー、肌触り気持ちいいよー)」
ヨツバはネコ科魔獣をどけようとする。
ネコ科魔獣は抵抗する。
10分くらいするとネコ科魔獣は飽きて、布地からどいた。
「あぁ……布地に猫毛がたくさん付いた……」
ヨツバはorzのポーズをとっていた。
そんな恰好している暇があったら、布地を片付けた方がいいぞ。
ほら、別のネコ科魔獣が、また布地の上に乗った。
「ぎゃー?!」
言わんこっちゃない。
というか制服が作りたいのなら、デザインだけ作って、ネットで外注すれば済む話だろう。
よほど裁縫に自信があるのなら話は別だが。
「くるにゃぁ(このぬくもり……子どもの頃にママに包まれていたのを思い出す……)」
「うわーっ! 穴が、穴が開いたぁー?!
せっかくの高級生地がー?!」
ネコ科魔獣がどいた後、ヨツバは布地を片付け、下を向いて帰ってしまった。
おーい、制服の話はいいのか?
せっかくだから、首輪PCで検索してみるか。
オリジナル制服、発注……っと。
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