220.再び開店



雑貨屋クローバー改築の翌日。

開店の日。


店内は客でにぎわっていた。



「店主! この機械は何だ?!」


「えーと、顕微鏡、だったと思います」



商品の種類はあまり増やしていない。

ほとんど以前と同じだ。


違うところといえば、店に研究関連の小物や道具を追加したこと。

作り方は鍛冶屋のオッサン達に伝えたから、遠からず製品が作られることだろう。


他に変更点は、俺が週2で生薬販売をすること。

ヨツバが週1で宝石ビーズ教室を開くこと、くらいか。


ただ、倉庫が増え、店舗スペースも広くなったため、捌ける商品数が倍以上となった。

リオン君とシャム2人体制でレジ担当をしている。



「おい小僧! 会計をせず出ていくとはいい度胸だなッ!」



ドスン! 万引き未遂の男がオリバー君に叩き伏せられる。


オリバー君は店の警備として働いてもらうことにした。

早速仕事をしてくれたようで何よりだ。


近所の人が憲兵詰め所に通報してくれたようで、すぐに男はしょっ引かれた。



「頼りになるわぁ」


「オリバーはエルフの精鋭らしいからな」



しばらく様子を見ていたが、万引き犯以外の大きなトラブルは無かったので、他の場所を見に行くことにする。



◇ ◇ ◇ ◇



ここは倉庫。

1Fは共有スペース。

2Fは俺用、ヨツバ用の小部屋が1つずつ、あとの6部屋の使用予定は未定だ。


倉庫番は現在、スペンサー君が担当している。

図書館の本が集まったら、彼にはそちらへ移動してもらうことになっている。


それにしても、伊達メガネが似合うなスペンサー君。



「猫よ、このメガネ、重いのだが」



ヨツバから開店時にプレゼントされた伊達メガネを外すスペンサー君。

くっきりと跡が付いている。

純銀のフレームは重すぎたかもしれない。


というわけでメガネを預かり、木を取り出し変性錬成、フレーム内部を樹脂に置き変える。



「これならまだマシだ」



伊達メガネをかけ直し、満足したのか笑顔で答える。



◇ ◇ ◇ ◇



ここは雑貨屋の2F。図書館、予定の部屋。

まだ何も置かれていない。

絨毯が敷かれているだけだ。


本棚をエルフ達に頼んで作ってもらいつつ、1年くらいかけてゆっくりと本集めを行うつもりだ。


俺は床に転がり、昼寝することにした。

絨毯がフカフカする。

良い気持ち。


すやぁ……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る