221.前言撤回



夜。

俺達は生活スペースに集まる。


全部屋個室、調理場は共同スペースにある。


ここに住むのはリオン君、シャム、コーディの3人。

スペンサー君はナンシーさんの宿屋に泊っているらしい。

一応、いつでもこちらに住む許可を与えている。



「では吾輩は宿へ帰るとしよう」



スペンサー君は一礼して出て行った。

元貴族とあって、一挙一動が優雅だな。


ちなみにオリバー君は既に森へ帰っている。



「んじゃ、部屋割を決めようぜ」


「……日当たり不要。ジメジメした部屋を所望」


「あんた変わってるわねぇ」



生活スペースの管理はリオン君に任せている。

彼なら上手くやってくれるだろう。


俺は森へ帰ることにした。



◇ ◇ ◇ ◇



ここは森の自宅。

コーディは店の共同スペースに住むことになったので、もうここには居ない。


一緒に生活したのは数ヶ月くらいだが、あんな奴でも居ないと寂しい。


ヒール談義に遺跡での勉強会、俺も学ぶことが多かった。

実に充実した日々だった。



「にゃんこさん、おかえりなさいです~」



金髪エルフのアウレネが自宅へ入ってくる。

寂しさを紛らわせるために、今日くらいは優しくしてやろうか。



「モフらせてください~」



手をワキワキして近づいてくる。

ええい、うっとうしい。


前言撤回だ、俺に近付くな。



「ふしゃー!」


「しゅ~ん……」



威嚇してアウレネを家から追い出し、木箱の中で寝ることにした。

やはりこの閉塞感が心地よい。


おやすみなさい。


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