225.にゃんこ讃美歌


今日は雑貨屋の定休日。


森の自宅前の広場にて、俺は蜘蛛の素揚げを食べていた。

う~ん、カニ風味。おいしい。



「キュオオオン!(暇である! 働きたいのである!)」



ここにワーカホリックな石像が1体。

以前の威厳はどこへいったのやら。



「バ ステ ト様は~偉大じゃよ~♪」


「にゃん こさんに か かれ ば 一瞬です~♪」



シルフ婆さんとアウレネは、変な歌詞の歌を歌っている。

俺の讃美歌、シルフ婆さんとアウレネ作。

……暇か? 暇なのか?


蜘蛛の素揚げを食べた後、自宅に戻ることにした。

歌がうるさいので。



◇ ◇ ◇ ◇



・リオン視点



雑貨屋の休日。

俺はドワーフ達の集まる鍛冶場に勉強に来ていた。



「よし、打ってみろ!」


「はい!」



俺は熱したミスリルを打つ。

不純物の炭などは火花として飛び散る。



「よしよし、少し待って冷まして、次は粘土を塗り固めるぞ。

刃の部分だけは粘土を剥がして焼くんだ」



親方の言う通りにする。

粘土の塗られていない刃の部分のみが焼ける。



「今だ! 水につけろ!」



一定の温度の水につける。

ここで水が冷たすぎると、金属が折れてしまったりする。


焼きいれという作業。

刃の部分を強固にして、粘土で保護された部分はしなやかさが残るのだ。



「どうだ?」



親方が不安そうに覗きこむ。

俺は、そっと水から引き揚げる。



「……」



慎重に、粘土を剥がす。

美しい刀身が現れた。



「やったな坊主! 上出来だ!」



小さな果物ナイフの刃が完成した。

あとはこれに持ち手を付けて、鞘を作ればOKだ。


俺は完成した刃を、しばらくうっとりと眺めていた。

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