277.【後日談】【クロスオーバー】仕事の引継ぎくらいきちんとやっとけよ。運営に文句言ってやる。


「にゃー(おっ、着いた着いた)」



ダンジョンの女神達に教えてもらった座標の世界に飛んだら、建物の中に着いたようだ。


壁には機械やライトが埋め込まれている。

この世界の文明レベルは高いのかもしれない。


建物の内装に合わない木製のルーレットテーブルを囲む銀色の魔獣達。

その中心に居る男が話しかけてきた。



「おいミルフィーユ、せっかく作ってくれたこのルーレットだが仕舞ってく……誰だ?」


「にゃー(トミタ・ミナモトだ……って、猫語は通じないか)」


「トミタとやらが、一体何の用だ?」



え? 通じるのか?

この人間、何者だ。

鑑定。


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鑑定結果

名前:伊乃田命(いのだまこと)

Lv:1(26歳)

種族:人間

所属:ダンジョン『引きこもり拠点』

スキル:なし

ステータス:

HP 0/0(不死) MP10/10

ATK18 DEF16 MAT0 MDF10 SPD12 INT27 LUK7575299

称号:【ダンジョンマスター(階位1位)(284,596,325,910DP)】


女神パチモによって転生した、地球出身の人間。

3度の飯よりゲームが好き。

幸運の女神に愛されている。

――――――――――――――――――――――――


ほー、ダンジョンマスターって奴の1人だったのか。

こいつらを監視すればいいんだな。


ところで、不死って何だ。

ゾンビか?


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鑑定結果

不死

説明:いかなる状況でも死なず、体は勝手に再生する。

ダンジョンマスターが不死なのは、幸運の女神が死の運命を曲げているからである。

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うん。ゾンビっぽい能力だな。



「にゃー(ダンジョンの女神様から、ダンジョンマスター達の監視の短期バイトに雇われた者だ。

よろしく)」


「そういや、メールボックスに『ダンジョンの女神3人は、有給休暇を取ります。

その間のサポートは臨時に雇った神に任せます』ってのがあったな。

お前のことか」


「にゃー(そうそうメール! メールの仕方が分からないんだ!

教えてください!)」


「は?」



俺は、メアドだけ貰ったが、そもそもどうやって神様がメールしているのか知らないことを伝えた。



「仕事の引継ぎくらいきちんとやっとけよ。運営に文句言ってやる。

人工音声さんにミルフィーユ。この茶トラに色々と教えてやれ」


「にゃ!(了解だよ!)」


――――――――――――――――――――――――

畏まりました。

ですが、【ダンジョンマスター】や【ダンジョンの女神】以外はメール能力をデフォで持っていません。

トミタへ首輪型高性能PCを購入してはどうでしょうか。

――――――――――――――――――――――――


どこからともなく女性のような高い声が聞こえてきた。

人工音声さんというのはコレか。



「じゃ、首輪型高性能PC購入で……って、高いなオイ!」


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購入 猫用首輪型高性能PC(7,600,000DP)

伊乃田命の手持ち284,596,325,910DP→284,588,725,910DP

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ダンジョンマスター君の元に、銀色の首輪が現れる。

それを俺に手渡してくれた。


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鑑定結果

名前:猫用首輪型高性能PC

説明:近未来で使用されている、遠方探索用の小型高性能PC。

自動充電機能、自動修復機能、厳選ソフト1万種類付き。

首輪を引っかけても首が絞まらず外れるような固定具を使用している。

――――――――――――――――――――――――


俺はさっそく、首輪をつけた。

そういえば腕輪を付けていた時期もあったな。

長年の使用で壊れてしまったのだが。



「11連ガチャ152回分だぞ。大事にしろよ?」


「にゃー(くれるのか? お金払うぞ?

といっても、この世界の金はもっていないのd)」


「金?! 金ならいくらでも欲しい!

ってか寄こせ」



この首輪がいくらの価値なのか知らないが、とりあえず10億Gほど取り出して渡した。



「おっしゃああ臨時収入! ゲーセンに行くぞお前らー!」



俺が渡したお金を、ダンジョンマスター君は機械魔獣達にばら撒いてしまった。



「ギャギャ!(いよっ! 大将!)」


「キキッ!(ちょうど遊びたい機種が入ったのですよ!

たくさん遊ぶのですよ!)」


「シュルルルル(タシカ、ユーフォーキャッチャーニ、タベモノガアッタナ……)」


「シュールシュル(そんなのより、お色気麻雀がしたいダス!)」


「シュルリリ(ふっ……俗世の遊びに付き合うのもまた一興よ……)」



機械魔獣達はダンジョンマスター君とともに、ぞろぞろとどこかへ行ってしまった。

にしても蜘蛛やら小人やらデカイ竜やら、色んな種類の機械魔獣が居るんだな。


後に残ったのは、白くてデカイ猫の魔獣。

というかこの猫、尻尾が二股に分かれているぞ

猫又?



「にゃ!(ボクはミルフィーユだよ! よろしくね!)」


「にゃー(よろしく)」


――――――――――――――――――――――――

では、私はメールについて教えることにしましょう。

ミルフィーユさんはダンジョンの案内をお願いします。

――――――――――――――――――――――――


「にゃー(そういや、ここダンジョンなのか)」


「にゃ!(そうだよー! ダンジョンタイプ『近未来』!

機械魔獣がメインの、とっても電気使っているダンジョンだよ!)」



機械魔獣って、やっぱり充電式で動くんだろうか。


――――――――――――――――――――――――

さっそく、猫用首輪型高性能PCの操作方法を教えましょう。

――――――――――――――――――――――――


女性の声に従い、俺は首輪PCの操作方法を学んだ。

といっても、キーボードや画面が空中に表示されているのを除けば、普通のPCと操作は変わらない。


このPC会社が提供する無料のメールアドレスを入手し、すぐにメールの使い方を習得した。



「にゃ!(それじゃ次に、ボクがダンジョンを案内してあげる!)」



俺は白い猫又の後ろを付いて行くことにした。

しっぽをフリフリしてて可愛い。

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