8章
252.ドン引き
□前書き□
本編・最終章です。
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異世界に来て7年。
今日は雪が降っていた。
俺は自宅庭のシルフ婆さんの墓にお供え物をする。
「寒いです~、にゃんこさんも早く家に入るですよ~」
「みゅ~(お、美味しそうにゃ)」
おいリリー。お供え物を食べようとするんじゃない。
このグレイトホッパー焼きはシルフ婆さんの物だ。
「リリー、家に帰りますよ~」
アウレネはリリーを抱き上げて、去っていった。
シルフ婆さんの死因は原発性の脳腫瘍による呼吸停止。
【ヒール】は間に合わなかった。
4ヶ月前に亡くなった。
もっと俺に力があれば。
例えば【ヒール】が【グレイターヒール】なら結果は違っていたかもしれない。
ま、たらればの話をしても仕方がない。
ちなみにハーディス様いわく魂は若干歪んでいたとのことで、現在修復中とのこと。
修復まであと200年ほどかかるとか。
気の長い話だ。
それにしても、今日は寒い。
◇ ◇ ◇ ◇
雪が降っているこの数日、自宅でのんびりしていたが、アウレネがやってきた。
「にゃんこさん、遊びに来ましたよ~」
「みゅ~(どうもにゃ)」
アウレネが靴を脱ぎ、ベッドに転がる。
勝手に人のベッドを使うんじゃない。
リリーはアウレネの靴をクンカクンカする。
その後、恍惚(こうこつ)の表情でポカーンとしている。
「みゅ~(たまらないにゃ!)」
「にゃー(うわぁ……)」
何やってんだ、ドン引きだ。
人間なら事案だぞ。
まあリリーもアウレネも女性なのだが。
「おやすみなさいです~」
おい、遊びに来たんじゃなかったのか。
リリーもアウレネの股に来て寝転がっているし。
……。
……俺もちょっと靴の臭いをかいでみるとしよう。
くんくん。悪くない。
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□後書き□
補足。
人間の体臭は猫にとってフェロモンみたいな臭いがするらしいです。
なので靴下や靴、脇などを嗅ぐのが好きな猫もいるのです。
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