253.ダンジョンに行くにゃ その1



ここは森の自宅前広場。

土鍋の中でくつろいでいると、リリーが提案してきた。



「みゅ~(そうだ、ダンジョンに行くにゃ)」


「にゃー(ダンジョン?)」



ダンジョンって確か、魔獣が沸く迷宮のことだよな。

中には宝や貴重鉱石がある、とのことだが。



「みゅ~(ダンジョンで強い魔獣と戦いたいにゃ!

ダンジョン踏破すれば、体もパワーアップするのにゃ!)」


「にゃー(そうか、行ってらっしゃい)」


「キュオオオオオン!(我も一緒に行ってくるのである!)」


「みゅ~(大魔導士は行かないのにゃ?)」



うーむ、ダンジョンねぇ。



「にゃー(長期間留守にするのはちょっとなぁ)」


「みゅ~(くまなく探索したら数ヶ月や数年かかるけど、ダンジョン踏破するだけなら1、2週間くらいで可能だにゃ)」


「にゃー(へー。それくらいならいいか)」



というわけで、ネルとヨツバの所に行って、しばらく留守にすると伝えた。


ネルは寂しがり、ヨツバはお土産を期待していますと言った。



◇ ◇ ◇ ◇



・とある冒険者視点



ここはルカタ帝国にある最大のダンジョン『別世界』


普通、ダンジョンというのは狭い迷路がずっと続く構造物なのだが、ここは特別だ。

国1つ分に相当する広い部屋が1フロアに1つのみ。

それが100階層分以上あるらしい。


ダンジョンは、自分の行ったことのある場所なら、特別な魔道具を使えば転移することが可能だ。

俺は今日もこの35階層で、特上薬草を採取している。


ふいに辺りが真っ暗になった。

俺は剣を抜く。


空を見上げると――ダンジョン内に空があるというのも不思議な話だが――町1つ分はあるだろう、巨大な竜が飛んでいた。



あんな魔獣、この階層に居たっけか?



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