22.爪研ぎがしたい
俺は爪が伸びているのが気になりだした。
そろそろ研ぐべきか。
近くの木をガリガリしてみる。
……木はあっという間に木くずになってしまった。
俺は木くずを四次元空間で回収して爪を見る。
全然研げてないじゃないか。
木は柔らかすぎてダメだな。
石を使おう。
俺は川に行く。
切り立った崖があるから、そこを使おう。
◇ ◇ ◇ ◇
結論として崖は柔らかすぎた。
近くにある岩も柔らかくてダメだ。
こうなったら、町の南にある山の岩を使って爪研ぎをしてやるぞ。
◇ ◇ ◇ ◇
ここは町の南にある鉱山。
何人もの人がランプの光を頼りに、ピッケルで岩を掘っていた。
カン、カン、カン……。
「お前の所の娘さん、もう嫁ぎ先は見つかったのか?」
「いや? そういうお前さんは?」
「俺のとこは男ばっかりで、しかも『時代は官僚だよ父さん』なんて言ってる貧弱な奴らしか居ないからなぁ」
カン、カン、カン……。
ガリガリガリガリ!
「……ん? 何だこの音」
「この穴から聞こえるぞ」
「穴が小さくて、人間の入れるサイズじゃないな。
こんな穴あったか?」
◇ ◇ ◇ ◇
俺は【ライト】を使いつつ、穴を掘っていた。
人間がある程度掘っていたみたいだったから、その続きから掘らせてもらっている。
下に、下に、ただひたすら下に。
お、銀色の鉱石がある。
――――――――――――――――――――――――
鑑定結果
名前:ミスリル鉱
説明:強さ、軽さ、魔法伝導に優れた鉱石。
武器、防具、魔道具雑貨など、さまざまな需要がある。
――――――――――――――――――――――――
柔らかい。
ダメだ。もっと固い鉱石を求む。
俺はひたすら穴を掘っていた。
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